小説

□ウサギさんのおヒゲ
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「ブラ、何描いてんだ?」


トランクスはリビングのテーブルで熱心にお絵描きをする妹の姿を認めた。


ピンクのクレヨンが彼女の片手につかまれて縦横無尽に画用紙の上を駆け回っている他、それ以外の色のクレヨンも何本かテーブル上に転がっているが、肝心の絵はトランクスの位置から見えなかった。


ちょうど彼はブラの背後にいたのだ。


「えへへ、なんだとおもう?」


ブラは笑顔で振り返り。


画用紙をトランクスに見せる。


そこにあったのは、


「ウサギさんかー。


上手に描けてるじゃん。」


白い画用紙の中心に、デフォルメされた大きなウサギの顔。


ミッ●ィーのようなピンクの輪郭線の中に、パッチリお目めと鼻が描かれていた。


「もうすこしで、かんせいなんだー。」


ブラは兄に自慢気に絵を見せた後、すぐさまテーブルに向き直る。


「へぇ〜これで十分かわいいのに。


後、何描くんだ?」


「オヒゲ!!」


その後、少しして「できたっ。」と歓喜の声が上がる。


「ねえ、見てみてお兄ちゃん!」


「どれどれ…。」


その出来上がった絵を見たトランクスは。


一瞬固まり。


ぷっと笑いを吹き出した。


「なに、なに?


なんかおかしかった?」


何が何やら、わけがわからぬ様子のブラ。


兄は笑い顔のまま、描かれたウサギの顎部分を指差して呟く。


「ここに3本、髭描いてどうすんだよ?


ほっぺたの方に描かなきゃ。」


ウサギの鼻から3本の直線が下に向かって放射状に伸び、それぞれが輪郭線を突っ切るように描かれていたのだった。


《END》




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