小説

□きざし
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そして翌朝。


悟空はカプセルコーポレーションに壊れた車2台を持って現れる。


きちんとそれらをカプセルに収納して。


……そこまでは良かったのだが、


現れた場所が悪かった。


「〜〜〜っ!!


な、なんだ、この力は……!!」


彼の瞬間移動先、それはベジータが特訓をしている重力室だった。


「ぐおぉおぉう、た、立てねえ……。」


いきなり300倍の重力を身に受けたことで地面にうつ伏せに押し付けられ、手も足も出ない悟空。


「カ、カカロット!?」


突然の来訪者に度肝を抜かれ、一瞬動きを止めるベジータであったが。


「…貴様、何しに来やがった。


修業の邪魔だ、さっさと出て行け。」


すぐに普段のむすっとした表情に怒りを混ぜたような顔をして、重力を通常に設定し。


顎で重力室の出口を指す。


「何しにって、ブルマにぶっ壊れちまった車を直してもらおうと思って……。


…そうか、ここ、重力室か。


いやー、えれえ重力だったなあ…これ、地球の何倍なんだ、ベジータ?」


地面にべったりと付いた道着の膝の部分を手で払いながら、能天気に悟空は問う。


「たかが300倍だ。


いいから出ていけ、カカロット。


俺ではなく、あの女に用があるんだろう?」


「ひょええー、オラの修業したのの3倍だ。


すげえな、ベジータ、オラ、」


「聞こえなかったか!?


目障りだ、失せろ!」


仇敵が目の前に現れ、非常に不機嫌なベジータは。


つかつかと重力室の扉に歩み寄って、扉を開け放ち。


高速移動で悟空の背後に回り込み、その背中を思い切り蹴飛ばした。


遅れて、ガッシャーンという音。


「何がすごいだ、白々しい。


見ていろ、今に貴様を超えてやるからな。」


彼が外に出て行ったのを確認し、再び扉を閉めるベジータであった。



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