誓いのキスは突然に 円山崇生
□円山センセイのヒミツ
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崇生がそっと触れると優衣ちゃんはふんわりとやわらかい。そして甘い花の香りがした。
『優衣ちゃんは妹のようなものかな』と言っていた崇生だが、崇生にはそもそも妹などいないし、優衣ちゃんの心地よい柔らかさは初体験に近いものだった。
職場や学生生活で女性と共同作業をしたことはあっても、優衣ちゃんはまったくの別物など気がする。
崇生はしげしげと優衣ちゃんを眺める。
「優衣ちゃんはふんわりしていて本当にかわいいね」
いつもは様々なことを慮る崇生だが、脳内はだだもれになっていた。
「そ、そんな////」
優衣ちゃんは真っ赤になっている。
これまた愛らしくて崇生は身悶えしそうになっていた。
表向きは微笑みながら優衣ちゃんを見つめてはいるが、理性が必死になって暴走を止めている。
崇生はかわいい優衣ちゃんにそっと手を伸ばし、結婚式場の披露宴会場に戻っていった。
「しかし、本当にくっついてしまうなんてね」
佐伯孝正はワイングラスを片手にセクシーな微笑みを浮かべている。
「優衣、気をつけろよ、崇生はムッツリだからな」
「え」
大和の言葉に優衣ちゃんの目がまん丸になった。
「ん」
漣も小さく頷く。
「崇生さんはひわい」
「!」
優衣ちゃんは真っ赤になった。
「お前たち……なんてことを言うんだ」
崇生が否定するが、久仁彦は俺の姪を泣かすな、と低い声で囁いた。
が、それが脳内で「鳴かすな」に変換された崇生は頬を染めてしまい
「「やっぱりムッツリだ」」とみんなに囃し立てられてしまうのだった。
そして、優衣ちゃんはというと、やはり真っ赤になって冷やかしを受けていた。