キミを愛す、何度でも 鳳湊平
□スイパラと湊平さん
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「本当ですか?」
「ん?」
湊平さんは隣に並んでいる私を肩越しに見下ろす。
私はその甘やかせるような眼差しを上目遣いで見上げた。
「私の好きなものは好きですか?」
「ああ」
湊平さんは溶けるように甘く微笑んだ。
「君が愛するものは俺も愛するからな」
「私、湊平さん、好きです」
「////」
たちまちのうちに湊平さんは真っ赤になる。
大きい掌が顔を覆うけど、長い指の隙間からまだ頬がのぞいている。
私は爪先立って
そっと、指と指の隙間に指先を差し入れた。
「熱いです、湊平さん」
湊平さんは更に赤くなり「やっぱり君はむごいな」と小さな声で囁く。
その、ささやき声すら熱く、なんだか私も頬を染めてしまった。
しばらく2人で立ち尽くしてしまう。
ふと我に返ったとき、湊平さんは言った。
「優衣。君はああいうのが好きだろう」
そこには。
スイートパラダイス……ケーキバイキングのお店があった。
ピンク色で、女性しか入っていない。
しかも。
「イラックマとギディちゃん……」
お店の前には大量のぬいぐるみ。
茶色のテディベア、『イラックマ』とその仲間の黄色いヒヨコ。
2頭身で無表情の子猫、『ギディちゃん』
「本日は、イラックマとギディちゃんの最終日でーす」
店員さんが明るい声で湊平さんを誘う。
その満面の笑みに湊平さんは低い声で呟くように言った。
「入らせてもらおう」
「……」
(に、似合わないです、湊平さん)
湊平と私の指はあいかわらずポケットの中で繋がれている。
その指が一段と熱くなり
それがどことなく湊平さんの困惑と決意に感じられて、物凄く愛されていることを私は再確認してしまっていた。