誓いのキスは突然に 円山崇生
□円山センセイのヒミツ
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教会でそっとキスをする。
優衣ちゃんと初めての口づけだった。
優衣ちゃんは小さい頃からお世話になっているクニさんの姪っ子で、崇生の理想そのものだった。
明るくてかわいい。
気配り上手だし、母も祖母も優衣ちゃんに会った瞬間から気に入った。
家族思いの崇生にとって、身内に好かれるというのは大切なことだ。
それだけではない。
優衣ちゃんの、どことなく土や水の香りまでしそうな自然体なところも崇生は気に入っていた。
その優衣ちゃんとそっとキスをした。
目を閉じ、崇生の唇を受け止める優衣ちゃんの小さな唇はふっくらと柔らかく、無防備なことにほんのり開いている。
結婚式をしてから告白をするというイレギュラーな展開
教会のステンドグラスの下、隠れるようにキスをする優衣ちゃんの剥き出しの肩。
その華奢さとウエディングドレスの純白さが崇生には眩しい。
崇生はそっと優衣ちゃんの腕を取り、唇を重ねていた。
白い手袋に覆われている腕は崇生に比べるとあくまでも細く、あくまでも心細い。
その優衣ちゃんが目いっぱい首を上げ、背の高い崇生の唇を受け入れていた。
唇をそっと離すと、上気している可憐な花嫁が目の前にいる。
「崇生さん」
「優衣ちゃん。好きだよ、愛してる」
再び、崇生と優衣ちゃんの唇は重なる。
なんどもそっと重ねては吐息を漏らし、ドキドキした胸を押さえながら微笑む。
両思いになったばかり。
崇生は優衣ちゃんの可愛らしさにときめきを隠せなかった。