吉祥寺恋色デイズ
□初々しいながらも一生懸命
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わたし、##NAME1####NAME2##は茶倉譲二さんの家に下宿している。
純然たる下宿です。
というのは、茶倉譲二さんは父の会社の社長の息子さんだし、
なんか昔はわたしの母を好きだったみたい。
譲二さんの初恋はわたしの母で。
わたしの初恋は譲二さんで。
幼稚園の時から高校生だった譲二さんを好きだったのに、見事な子供扱い。
そして、両親が転勤の間、譲二さんの家に下宿することになりました。
やっと告白して、やっと受け入れてもらえたのに、譲二さんは、まだまだ見事な子供扱いです。
わたしは、高校生の時の譲二さんを好きになった。
でも、いま、わたしが高校生になったというのに、彼はすでに30近いのです。
……辛い……。
「おやすみなさい、譲二さん」
わたしが部屋に挨拶に行くと譲二さんは微笑み、わたしの額にキスをする。
「おやすみ、##NAME2##ちゃん」
(これだけじゃもういや。ぎゅっってしてほしい)
わたしはたまらなくなって、譲二さんにぎゅっと抱きついた。
「どうしたの」
「譲二さんに、ぎゅってしてほしいの 」
「##NAME2##ちゃん 」
譲二さんは優しい眼差しをした。
「ぎゅってしたらとまらなくなるかもよ 」
「 とまらなくていいの。ぎゅっってして 」
「 仕方ないなあ 」
譲二さんは微笑み、わたしをぎゅつて抱き寄せた。
長い髪をあたまのてっぺんからなでられる。
よしよし、と頭をポンポンされた。
硬い胸板に頭をよせ、髪を指で梳かれるととても気持ちがよくて、わたしら譲二さんにしがみつく。
と、譲二さんとの喉がかすかに動き、やがて、そっと額に唇が寄せられた。
わたしは顔をあげた。
(またおでこ?)
と、その唇に譲二さんの唇がふれた。
(あ)
ふれたまま、譲二さんの指先はわたしの髪をなぞり、後毛を耳にかけたり、耳たぶを少し揉んだりしている。
そして、角度をつけ、下から掬うように優しくまた、唇がふれた。
「キスから先は早いよ 」
「早くないよ!もう一年だもん 」
「 そういう、意味じゃないよ 」
譲二さんはわたしの耳たぶを噛んだ。
「 一度キスをしてしまったら、そこから先は、俺が我慢できない」