あなたに見守られる
□一松とおやつ
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「いるなら声かけてくださいよ〜誰もいないかと思ってスキップしてました」
一松さんの近くに寄る。
さっきまでの自分の行動が少し恥ずかしくてついテヘヘとごまかした。
「こいつが寝てたから」
「わぁ、猫だかわいい…!」
一松さんの腕をひょいとのぞきみると、オレンジ色の猫が一松さんの腕の中で気持ちよさそうにゴロゴロしていた。
青い色の眼鏡っぽい模様…?
なんだか不思議な猫だ。
いわゆるブサカワってやつ?
「拾ってきたんですか?」
「まぁ」
そのねこがどうもこうもブサカワでにゃ〜と鳴くたびについ顔が緩んでしまう。
私は動物にはめっぽう弱いらしい。
「こんにちは〜」
つい赤子に話しかけるように挨拶してしまう。
『こんにちは』
ん?いまこの猫が挨拶を返してくれたような。いやいやそんなわけないよね、猫がしゃべるわけないよね。
私はさっきのデレデレの顔から一瞬にして真顔になり、一松さんの顔を見た。
「いまの、一松さんですよね?」
そういうと一松さんは首を横に振った。
じゃあいまのは空耳?
私の幻聴?
可愛すぎて挨拶された気になってる変人ってこと?
え?え?と私は周りを見渡し焦る様子をみて一松さんはニヤリと笑った。
「今の、猫」
「…はい?!」