あなたに見守られる

□一松とおやつ
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「ただいまでーす」





私は少し上機嫌で松野家の玄関をくぐる。
ちらりと時計に目をやるとまだお昼の2時。

なんでバイトが終わった後のまだまだ時間あるぞ!っていう感覚ってこんなにうきうきするんだろう。

さてなにしようかな?お部屋の掃除?
それとも松代さんに買い物頼まれるかなぁ?
それともこんな時間からテレビでも見る?!


ここにきて数ヶ月。
この生活にもだいぶ慣れて余裕ができてきつつある。
最初の頃の私はお昼からテレビなんてみれなかったし、趣味にいそしむこともできなかった。
もちろん居候の身であるからそんなこと…って気持ちも大きいけど。

でも松野家の人たちはみんな優しくて私を本当の家族みたいに甘やかしてくれる。
テレビもみていいのよなんて言われたときは嬉しかった。



チョロ松さんがこの前買ってきてくれたケーキもいつもの癖で6個しかなかったのにみんな少しずつ私に分けてくれて…。
こんな幸せでいいのかなぁ?







「って、誰もいないのかな?」






私は買い物してきたものを冷蔵庫に詰める。
家から人の声も、気配もしない。

六つ子さんもニートなのにどこにいってるんだろう?(え
まぁそんな詮索するもの野暮だからしないけど。





私はそんなことを考えながら軽快なステップでテレビがある居間に向かう。
用事もないし、お言葉に甘えてテレビでも見ちゃお!




麦茶を持ちながら勢いよく今のふすまを開ける。
しかしそこには先客がいた。







「はれ、一松さん?」







「ん…おかえり名無しさん」












《一松とおやつ》
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