あなたに見守られる
□寂しがり
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それからなぜかチョロ松さんが現れたので話の事情を詳しく聞いた。
つまりなぜ、わたしがバイトしているライブハウスに二人がいるのかというと…
トト子ちゃんは家の魚屋さん繁盛のためにアイドル活動をするのだという。
そしてそれのマネージャーが、アイドルオタクでアイドルのマネージャーになりたいチョロ松さんということ。
そしてトト子ちゃんのデビューライブをここでやるのだという。
「また思い切ったことを…」
「それでグッズも作ったのでここで物販してくれませんか?」
チョロ松さんは仕事口調でトト子ちゃんグッズが記載されている紙をオーナーに渡す。
オーナーはそれを見てグッと親指をたてる。
「いいよいいよー全然いいよ!友人つながりってことで匿名ちゃんは当日物販とバーカウンターお願いね。はいこれ」
「え?!わ、わかりました」
うぐぐ仕事が増えた…でもまぁトト子ちゃんのデビューライブのためだもんね。
がんばらないと!
私はオーナーから受け取ったグッズが記載された紙を見る。
「チケット8000円…手ぬぐい2万?!はっぴとかTシャツもあるけど…これぼったくりじゃ…」
「では当日お願いいたします」
チョロ松さんは私の台詞が言い終わる前にそそくさと退散してしまった。
あんた自身がぼったくりっておもってんのかい。
「はいはーい♪」
「名無しさんちゃんも当日よろしくね」
「う、うん…」
こうしてトト子ちゃんもライブハウスから去って行った。
こんなとんでもない額なのにオーナーはへらへらと笑っている。
「い、いいんですか?…これ普通の額じゃないですよね…」
「そうねぇ、無名のアイドルのライブでこんなに高いグッズ販売なんて…どこかに金を落としてくれる人がいるのかねぇ?」
「でもライブやるんですよね?」
「前金もらってるしね〜こっちとしてはお金もらえてれば問題ないし♪匿名ちゃんも一緒にがんばろう!」
「は、はぁ…」
オーナーは楽観的すぎる…でもまぁそうだよねお金もらえればこっちは場所を提供するだけなんだから。
トト子ちゃんのために精一杯がんばろうっと。