松短編
□勘違いアイドル恋をする
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「いけない…!このままだとライブに間に合わな……きゃっ…!!」
ライブハウスへ向かう途中、わたしは急いでいたせいか、石に躓いて転倒してしまった。
カバンの中身も地面にばらまいてしまう。
「あっ……やだ…!」
私は急いで地面に散らばった私物を集める。
周りの人はそんな私の様子を見てるハズなのに、誰も助けようとしてくれない。
面倒くさそうな顔をしてスルーして歩いていってしまう。
そりゃそうだよね…私みたいな地味な女、誰も相手にしないよね。
しゅんと肩を落としていると、私の視界が影で暗くなる。
ふと上を見上げると見知らぬ人が私の私物を拾ってくれていた。
「大丈夫ですか?あ、はいコレ、あなたのですよね?」
「え……は、はい!あ、あ、ありがとうございます…」
「これで全部かな…じゃ、僕はこれで!」
「あ………」
助けてくれた人は私の荷物を拾ってくれた後、急いでいたのか直ぐに去っていってしまった。
名前……聞けなかったな…私がとろくさいから……。
でも…素敵な人だったなぁ、私みたいな奴にも優しくしてくれるなんて。
でももう会うこともないよね、残念だけど。
「って!私も急がないと!!ライブ始まっちゃう!!」
【勘違いアイドル恋をする】