松短編

□恋占いの行方 後編
2ページ/5ページ









「……お、おじゃま…します…」







「え?!なんか今日は固いね?!普通にしてて大丈夫だよ!」








俺は松野一松。かの近所では有名な六つ子(ニート)の四男だ。
そして何故か今、俺は女友達?である名無しの家に来ている。


俺が女の家に行くことが生きてきて20数年間であっただろうか(トト子ちゃん家は除く)
そんなわけで意識しないようにしてもどうしても意識してしまう。俺も男だから。


ていうか、なんで急に俺を家に呼ぶんだよ。
俺を殺す気か??




そんな思いが交差する中、
俺は促されるままに名無しが営む占いの館へ足を踏み入れる。

中はまぁいかにも「ここ占い師います」って感じの雰囲気だ。




「ここでいつもお客さんを接客するの。私、恋占いが当たるってもっぱらの噂で、結構男女問わず人来るんだ〜」





名無しは誇らしげに水晶やタロットカードが置かれているテーブルを指さす。
正直俺はそれどころじゃないんだけど…
とりあえずなんか反応しないと…。








「へぇ……じゃあ結構稼げるんだ」







俺は何を言ってるんだ

ニートの俺が稼ぎを聞くなんて、完全にアテにしてるようにしか聞こえない…!!;

俺はやっちまったと冷や汗をかきながら、名無しの方を見る。


名無しは眉一つ動かさず、さっきの笑顔のままだった。







「うん!最近は評判も良くて、人がたくさん来てくれて凄く助かってるんだ〜」








「あ……そうなんだ…」








よかった…気にしてないみたい。

俺がなんでこんなに気にしてるのかというと、正直この一ヶ月で名無しに好意を持ってしまったから。
いちいち反応がほんと可愛いし、俺みたいなやつと一緒にいても楽しそうになんでも話してくるし聞いてくる。



こんなん好きになってまうやろ…。
俺童貞だぞ…。


…名無しは今でも変わらず俺に好意を持ってくれているみたいだけど、
実際こんなゴミクズニートの俺に好かれるなんて地獄だろ…。
と思って俺からは何も伝えられてない。



良くないのはわかってる…けど、勇気が出ない。




そんなモヤモヤしてる時期に
名無しから家に遊びに来ないかという誘いが来て完全にテンパった。




俺のそんな葛藤も知らず、名無しは一通りお店の紹介をした後、
二階に上がり実際に生活している部屋に通してくれた。


ちなみに家に入ってから名無しの話はほぼなにも覚えていない。
何を話したかも覚えていない。






「ここが私の部屋!テキトーに座って!」





「…」






通された部屋は普通の可愛らしい部屋だった。
職業占い師というのだから、もっとおどろおどろしい内装かと思っていたけど…。

しかもなんかいい匂いする




これが女の部屋の匂いか?!
いやそんな漫画みたいなことある!?




とりあえず俺は挙動不審になりながらも
名無しに促された座布団になんとか腰を下ろすことができた。









 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ