松短編
□恋占いの行方 前編
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外へ出かけた私は気分転換にショッピングをしたり、カフェに行ったり、おいしいケーキを堪能したり…
好き勝手にお出かけを楽しんでいた。
「でもこれ…いつもとやってること変わらないな…」
こんなんで運命の人探しがうまく行くとは思えない…。
よし、インスピレーションを研ぎ澄ませるために、今まで行ったことのない場所に行ってみよう!
そしてわたしは東京の郊外へ赴く。
田舎から上京してきた私は、憧れの東京の中心地ばかり巡っていた。
たしかにオシャレにもなったし、美味しいお店はたくさんあるし、舌も肥えた。
でも占いはそれだけじゃやっていけない!!
占い師は何でも探索、探検、探求!!
「と、いうわけで…少し歩いて河川敷の方まで出てきたけど……うーん…これといってなにもないなぁ…」
きょろきょろとあたりを見渡しても、川や石、雑草、住宅地しか見つからない。
やっぱりだめかぁ…とため息をついた瞬間、名無しの目にあるものが映り込む。
「え……あれって……?!」
それは川のそばで、紫のパーカーを着た人物が猫と戯れている姿だった。
運命の人のキーワード……『猫』『紫』……!!!
「見つけたー!!!」
「っ…?!?!;」
その私の声に驚いた顔で男は振り向いた。
私は急いで男の元へ駆け寄り、満面の笑みで挨拶をする。
「こんにちは…!!」
「え?!……な、なに…?誰…?」
なぜか私を見て極度に怯えたような表情を見せる。
私の笑顔…変だったかな?!あ、まずは名前からだよね…!
「あっ…!大変失礼しました。私、東京で占い師をしてます!名無しと言います!」
「え…?あ…ど、どうも……?」
私はお店の名刺を男に渡す。
挙動不審になりながらも名刺を受け取ってくれた。
一通り名刺に目を通した後、男が私に問う。
「で…その俺に占い師の人が…何の用…?」
「えっ!!」
た、たしかに…なんて切り出せばいいのかな?!
いきなり、『私の運命の人かもしれません!付き合ってください!』なんて言えないし……!
まさかこんな展開になるなんて思ってなかったので何も考えてこなかった…;
どうしよう……;
「………特に何もないなら…俺はこれで…」
何も答えない私を見て、男は去ろうとする。
私は一瞬にして我に帰り、まずい!と思って反射的にガシッと男の腕を掴んだ。
男は少し不機嫌そうな顔をする。
「なに…まだなんかあるの…?」
「あの……突然ですが私たち、お友達になりませんか…??」
「は…??」