松短編
□凛として
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「ありがとう、助かった」
「…礼はいらない」
その女は強く、チンピラをさっさと追っ払ってしまった。
カラ松はただそれを見てることしかできなかった。
少し汗ばんだ彼女は少し色っぽく、そして凜々しく、カラ松をドキッとさせる。
「助けてもらったお礼をさせてくれないか?」
カラ松は胸ぐらを掴まれた時に落として少し割れてしまったサングラスを拾いながら彼女に言った。
彼女は少し驚いた様子を見せたが首を横に振った。
「礼はいいと言っている。逆にそのおまえのサングラスやその格好をやめた方があーいう輩に絡まれずに済むんじゃないか?」
「えっ?!これ駄目…?!」
「じ、自覚なしか…」
カラ松のお気に入りのファッションに指摘が入り、結構ショックを受ける。
その様子をみて女はクスッと笑った。
「変な奴だ」
「!」
彼女の笑う顔は、とてもかわいらしく、さっきまで竹刀を振り回していた人物とは正反対だった。
そんな彼女にカラ松はまたもドキドキしてしまう。
というか、大人になってから女の子とまともに会話をしたことがあっただろうか。
こっちが一方的に話しかけ、ウザがられては無視され、の繰り返しだった。
「それじゃあ、私はこれで」
「ちょ、ちょちょっと待って!」
「?」