あなたに見守られる
□目を覚まして
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「えええ!?名無しさんちゃんってあの六つ子の家に居候してるの!?」
「え?は、はい…一応…」
「そーなの、ほんと、あいつらが名無しさんちゃんに何かしないかトト子心配ー」
ご飯の最中、私が松野家に居候していることが話題に上がった。
そう言った途端、にゃーちゃんは怪訝な顔をする。
松野家と何かあったのかな?
まぁなにかあってもおかしくないけど…。
「ま、まさかにゃーちゃん…六つ子の皆さんに何かされたんですか?」
「実はこいつさー、一時の気の迷いでおそ松くんのこと好きになっちゃって」
「ええ!?」
「トト子!!言うな!!!」
にゃーちゃんの顔は青から赤色へ変わり、
トト子ちゃんの口を手で覆う。
トト子ちゃんはその手を無理やりはがし、にゃーちゃんをキッと睨みつける。
「なにすんのよ!!本当のことじゃん!!私たちがあれだけやめとけって言ってんのにさー!!」
「うぅ…そ、その節は悪かったと思ってるよ!結局デートはしなかったし…!」
「え……なんでデートしなかったんですか?」
「いや…当日の朝、目が覚めたらふと我に返ったというか…本能的にこの人はだめじゃないかって……感じて……」
にゃーちゃんはしゅんと項垂れながら水を飲む。
当時のことはかなり黒歴史だったようだ…あんまり触れないでおこう…。
「まぁもうそれは終わった話だし…本当に目が覚めて安心したわ。そういえば、名無しさんちゃんはあのクソニート達と出かけたことある?」
「え?ありますよ」
「「kwsk!」」
二人の目はさっきと打って変わって
きらきらと輝きだした。
人の恋バナって楽しいですもんね…わかりますわかります…。
「そんな詳しく話すことなんてないですけど……」
名無しさんはうーんとその時のことを思い出しながら口を開く。
「おそ松さんとは競馬場に行きましたし…」
「カラ松さんにはよくわからない場所に案内してもらったり…」
「あ、チョロ松さんとにゃーちゃんのライブに行ったこともありますよ!」
私が六つ子の皆さんと遊びに出かけた話をすると、二人の顔がどんどん険しくなる。
トト子ちゃんが日本酒の入ったコップをドンッとテーブルに叩きつけた。
「あいつらマジか…」
「失礼だけど…名無しさんちゃんそれ楽しかった…??」
「えぇ!?そんなに!?…ってなんでみなさんそんなため息ついてるんですか?!」
「いや…名無しさんちゃん人良すぎだって…さすがに心配になるわ…」
「そもそも働いてない時点で終わってんのに、デートもつまらないとか致命的でしょ?!」
「ま、まぁ働いてないのはどうかなと思いますけど…普通に楽しかったですよ?」
「「名無しさんちゃん目を覚まして!!!」」
「そういえばちょうどこの前、一松さんと十四松さんとトド松さんと4人で箱根に旅行にも行きましたよ」
「お願い目を覚まして!!!!」
「ってか今日もらったお土産、そのときのかい!!」