ブラッド 〜血の運命に抗う者たち〜
□復讐者と道化師
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「なら、騎士以外の勢力という可能性があるのか?」
スランの問いにはすぐに首を横にふった。
「それはないだろう。騎士以外が俺らに対抗する理由はないだろう?裏で悪いことでもしてねーとな。」
クレストの言葉に半目になるスラン。
「おい、言っていることがよくわからんぞ」
クレストは溜め息をついた。
「騎士は一枚岩じゃないんじゃねーかって話だ」
そう言うと椅子にかけていた黒コートを着た。
スランは意外そうな顔をし
「何処に行くんだ?」
と聞くと
「ちょっと、確かめてくるわ」
と言って店を出た。
ニヤニヤした顔で出ていった吸血鬼の顔を見て、アンデッドは嫌な予感しかしなかった。
溜め息をつき辺りを見回したらレーナが階段の前に突っ立っていたの気づいた。
「聞いていたのか?」
レーナは黙って頷いた。
「クレストの考えが当てはまっているかはわからんが、どちらにしろ、俺たちの仕事に変わりはない。変なことは考えるなよ?」
「わかってます。」
彼女の暗い顔を見るが、スランはこれ以上言うことはできない。
仲間に余計な不安はかけたくたかったからだ。
*
ヴァイルはブラックとガウナー、そしてジャストルと一緒に昼の酒場の中でトランプを使ってダウトをしていた。
ヴァイルが手札からカードを一枚裏向きでテーブルの中央に置く。
「4!!」
「「ダウト〜」」
ヴァイル以外の全員の一斉に言われ、ギクッとすると、仕方なくカードを表にすれば、書いてあるのは「6」。
ヴァイルは溜め息をつきながら自分の置いたカードのしたにあるカードごと回収し、結果、ゲームに負け、もう涙目で
「みんな読心術か透視能力でも持ってるんですか!?」
と聞くも、3人とも溜め息をつき、まずブラックから
「ヴァイルがわかりやすいだけ」
ガウナーからは
「顔に出やすいからな〜、おまえ」
ジャストルからは苦笑されながら
「ヴァイルくんは純粋なんですよ、良いことです。」
とオブラートにバカと言われた気がする。
ブラックが頬杖をつき呆れた。
「俺、ダウトで連続13回も負けるやつは始めてみたぞ?」
ヴァイルは何も言えずに苦笑いする。
「では、ダウトもお開きにして、そろそろ本題に入りましょうか?」
ヴァイルが肩をビクッとさせると、3人はニヤニヤしながら言った。
「「「さぁ!メンバーで誰がタイプかはいっちまえ(言いなさい)」」」
顔をつき出して聞いてくる3人に、ヴァイルは頬をかき、困った反応をする。
このダウトゲームでは、負けた者がブラッドの女メンバーで誰が好みなのかを言うのが罰ゲームで、ここにスランがいない理由は「くだらん」と一言言って二階に上がったからだ。
13回まで粘ってみたが、もう無理らしいと思い、ヴァイルは正直な気持ちで一言。
「僕、そういうのがよくわからないんです」
数秒間の沈黙の後。
「「はぁあああああ!?」」
耳はキーンッとなるほどの音量でガウナーとブラックが叫ぶとガウナーはヴァイルの肩を掴んだ。
「おまえ、レーナと仲良さそうにしてたじゃん!!レーナに気があったんじゃねーのかよ!?」
「いやいや、レーナとは友達なだけですよ?」
ヴァイルが苦笑いしながら返答すると、ガウナーは肩を落とした。
「いいか?よく思い出してみろ、レーナの容姿、性格、顔!巨乳だぞ、ツンデレだぞ、可愛いと思ってるだろ!?」
ガウナーの勢いに圧倒されてもヴァイルはピンとこない。
「可愛いとは思いますよ?じゃあ、それが好きってことなんですか?」
ヴァイルの素朴な質問に言葉が詰まったガウナーの代わりに、ブラックが聞いた。
「レーナじゃないなら、グレース姉ちゃんか?可愛い系のレーナとは違って、美人って感じらしいよ?」
「いや、マキさんという可能性もありますよね?」
ガウナーはヴァイルから一旦距離を置くと、引くような顔をした。
「もしかして・・・おまえ、ホモ?」
「そんなわけないでしょう!!!!」
全力で否定すると、その声が二階にも響いて、二階からパジャマ姿でホワイトが降りてきて
「ヴァイル、うるさい!!」
と怒鳴られ、ヴァイルは「ごめん」というも、心の仲で叫んだ。
(理不尽だ〜〜〜〜!!!)