ブラッド 〜血の運命に抗う者たち〜

□復讐者と道化師
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懐かしい景色が彼女の前に広がる。

一瞬でこれは夢だと理解した。その景色はもう現実にはないのもだからだ。

彼女がこの夢を見るのは何時以来だろうか。

自分が充実感を覚えると、必ずこの夢を見ることになる。

最初は森の中から始まり、川を渡り、自分の住んでいた村が見える。

だが、次の瞬間に村は火の海とかす。

誰か居ないか捜すが、見つけるのは血を流した死体ばかりで、村の中央に行くと、必ず奴が居る。

眼帯をつけた赤髪の女がニヤリっとこちらを向いた。

『見〜つけた』

女は言いながらこちらに白い銃口を向けてきた。
         *

レーナは悪夢に目が覚めると、寝ている間に大量の汗を流していた。

そんなことは構わずに過呼吸になり、息を整えるためにうずくまりながら深呼吸をした。

「何で・・・・・あんな夢・・・・」

夢の内容は思い出したくない。だが、向き合わなければならない。

自分は復讐者なのだから。

シャワーを浴びて汗を流せば、体を拭いてワンピースを着て、髪を二つに縛って準備完了。

部屋を出れば、昨日ガウナーと酒飲み対決をして浴びるほど飲んでたマキが部屋の前で前のめりに寝ていた。

「おーい、マキ起きろー」

近づいてしゃがめば、頬を軽く数回叩くが起きない。

仕方ないのでマキの部屋に運んでベッドに寝かせる。

一週間に一度はこの状態なのでもう
慣れたが、マキの身体は重いので、運ぶのも一苦労だった。

その後、一階の酒場に降りると、店長とスランさんがカウンターに座ってブラッドの方の仕事の話をしていた。

「前のカメレオンの様なスーツと、その性質を人間にも使えるようにする薬…………騎士側もこっちに対抗している。やはり、根本の開発されている場所を例のじいさんに調べてもらって襲撃するしかないだろう。」

スランが提案すれば、クレストは少し考えるが煮え切らない様子だ。

「騎士側って言うくくりはおかしいんじゃないか?でないと、この前の透明人間事件で騎士の自作自演なら、捜査しているふりをすればいい、わざわざ聞き込みまでして一般人に不安を煽る必要はないだろう」
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