ブラッド 〜血の運命に抗う者たち〜

□その物たちの名は
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目が覚めた時には、目の前は真っ白な天上だった。

横を向けば机と椅子が置かれていて、身を起こせば、自分が横たわっていたことがわかった。

どうしてここに居るのか思い出そうにも、金髪の男の前で倒れたところで途切れている。

いろいろと疑問が浮かび考えていると、部屋の扉が開き、金髪の男が入ってきて、ヴァイルの元に近づいた。

「おはよう、ヴァイル・レストール君よく眠れたかい?」

見たことのある金髪の男を見ると、彼は疑問が何個か浮かんだ。

「あの、僕はどうしてここに居るんですか?それに、僕の名前は言ってないはずなんですけど・・・・・」

微笑んで聞いてきた彼に、ヴァイルはいくつかの疑問を投げかけたら、金髪の男はハッと気づいた。

「ごめんごめん、自己紹介をしてなかったね?俺の名前はクレスト・バールン、この部屋の下の酒場フェアリー・ティアの店長をしている者だ。それで、何故君の名前を知っているのかと言うと、君が眠っていた3日間、知り合いの情報屋に調べてさせてもらったよ。」

「え!?3日間も寝てたんですか!?すいません!!」

「いやいや、大丈夫」

クレストと名乗った男は、ヴァイルの新しい服にパーカーとサリエルパンツを用意して、着替えてから下の酒場に来るように言って部屋を出た。

待たせてはいけないと思って、着替えて急いで部屋を出て、近くの階段で下に降りると、クレストと、4人の男女がそこに居た。

「さてヴァイル君、俺は君のことを情報屋を通して知ったと言ったね?つまり、君がバイトをクビ なったことも知っている、そこで相談なんだが、ここで働かないかい?」

突然のことにヴァイルは驚いて、言葉を探す。

「えーっと、・・・あのー・・・・・その・・・・ごめんなさい、何て言っていいかわからないんで・・・・・」

4人の中の1人の女子がヴァイルに近づいてきた。

「ねぇえ、ヘタレ君はさぁ、まさか、恩を返さずにいるつもりだったの?常識ってわかる?」

いかにも怒気をはらんでいる声で言った女は、年齢はヴァイルと同じくらいで、髪が赤紫で短く二つに縛っていて、胸の膨らみが強調されているスタイルの良い人だ。

「まぁまぁレーナ、こいつを一回落ち着かせろよ、恐がってるじゃねーか」

背丈の高い、がたいの良い男がヴァイルを庇うが、レーナと呼ばれた女は

「ちょっと、何もしてない奴が口を挟まないでくれる?ガウナー。このヘタレのせいで私は凄く苦労したんだからね!?」

身長差を感じさせない気迫で言ったら、ガウナーと呼ばれた男は圧倒されて、ヴァイルに悪いと言って手を合わせて下がっていく。

「店長が運んできた奴だから、どんなのかと思ったら、こんなヘタレだったなんて、看病して損した!!私の時間と体力を返して!!」

ヴァイルに指さしながらクレストの方を向いて言ったが、クレストはヘッドフォンをして聞いてないふりをした

「て〜ん〜ちょ〜!!」

クレストの元に行こうとしたレーナを、ガウナーとは対照的に細い体の長髪を後ろで縛った男が手を出して静止させた。

「クレストが何も考えずにつれて来たとは思えない、様子を見よう?」

レーナは渋々頷く。

細い男は二人から離れて、ヴァイルとクレストを交互に観察していると、露出の多い服を着た背丈が男ぐらいの女が近づいてきた。

「何クレストとあの子を睨んでんの?感じ悪」

男が女のことを無視している。

「ちょっとスラン!無視してんじゃなーい!」

スランと呼ばれた細い男は胸ぐらを掴まれて息苦しくなった。

(いい加減相手をしてやるか。)

「わかった!無視しないから手を離せマキ!」

マキと呼ばれた女は宜しいと言うと手を離す。

「ヴァイルって子のこと考えてたの?」

「当たり前だ、俺も思っていることはレーナと一部は同じだからな」

ヴァイルがレーナにガミガミ言われているのを見ると、スランは溜め息をもらし呟いた。

「何で人間を連れてきた」

         *

「わ、わかりました!ここで働きますから許してくださぁい!!」

最終的には物を投げつけられてきて、ヴァイルは涙声で言うと、レーナはやっと怒りが治まったようだ。

「最初からそう言えばいいのよ」

ふんっとそっぽを向いて言ってきたレーナを見て、ヴァイルは胸を撫で下ろすと、二人の絡みが終わったとわかり、ヘッドフォンを耳から外して、みんなのところに来る。

「さて、まぁ、いろいろと不安や不満はあるだろうけど、頑張っていこう!それじゃあ、先輩たちから自己紹介をね?」

クレストが店員の4人に視線を送ると、左から自己紹介した。

「スラン・ナータ。一応、副店長ってことになってる、宜しく頼む」

「マイル・キイラでーす。マキって呼んでね?ヴァイルちゃん」

「ガウナーだ。ああ、名字はねーんだ、俺は孤児だから、宜しく頼むわ」

「レーナ・イスタルト、まぁ、期待はしてないけど、邪魔はしないでよね?」

握手したり、いきなり抱きつかれたり、肩を組まれたり、冷たい視線を送られたりとヴァイルへの自己紹介は終わった。

「じゃあ、ヴァイル君は明日から参加してもらうから、今日は見学しててね?」

ヴァイルは頷いて、皆はそれぞれ散らばっていった。
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