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□バカ
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清々しい朝…今日も一日平穏に…
「紅葉っち〜!!!」

…できそうにないな…

「朝からうるさい、駄犬め」
「相変わらず酷いっス…」
「だいたい[っち]は付けるなっていってるだろ?一応先輩だぞ??」
「それは分かってるんスけど…でも付けた方が可愛いっすよ☆」
「知るか」

キャンキャンとうるさい駄犬こと黄瀬涼太。初対面の時から冷たくしていたのに何故か懐かれた。
私が女版笠松って言われているからか…?

「って聞いてるんスか、紅葉っち!!?」
「ああもううるさい、朝から騒ぐなよ黄瀬…」
「紅葉っちが聞いてくれないからじゃないっすか!!」
「悪かったって。で、何??」
「もー、しょうがないっスね〜!」

デカいし、ウザイこともあるけどなかなか可愛い後輩だ。
そのせいか強く拒めないことがある。

「へぇ、そうだったのか…」
「そう!でね、そんときにーーー」

楽しそうに話す黄瀬に相槌を打ちながら歩くとすぐ学校についた。

名残惜しそうに私のカバンを掴んで放さない黄瀬。

「ほら、朝練行かないとまた笠松にシバかれるぞ?」
「だって紅葉っち…クラスも学年も違うからなかなか会えないじゃないっスか…」
「いや、そんな彼女みたいなこと言われても困るんだが…」
「……!!俺、紅葉っちのお嫁さんになるつもりっス!!」
「どんな宣言だよ!?!?しかもお嫁さんって…アホか!?」
「俺だって本当はお婿さんがいいんスけど…紅葉っちの方が似合うかなーと…」
「そもそもなんで結婚前提なんだよ!!さっさと朝練行ってこい!!」
「………はいっス…」

渋々と手を放して落ち込んだ様子で歩いて行く黄瀬。
…ったく世話が焼けるな…

「黄瀬!!」
「…なんスか???」

しょぼくれた顔で振り返った黄瀬

「そんなに会いたいなら、昼休みにこっちに来ればいいだろ。」
「え…!!??」

パアッと明るくなった所で歩み寄ると手を握ろうと少ししゃがんだ黄瀬に少し背伸びをして頭を少し乱暴に撫でる。

「だからシャンとして部活行ってこい!」
「…はいっス!!!」

[約束っスよー!!]とか叫びながら去って行った。単純というか何と言うか…。軽くため息をつくと私も校舎へと向かった。



〜昼休み〜

「紅葉っちーーー!!」
ドタドタとは走る音が聞こえたと思ったら勢いよく駄犬が飛び込んできた。

「うるさい、もう少し落ち着いて行動しろと…」
「せっかくの紅葉っちの誘いっすもん!俺楽しみで楽しみで!!」

大して話もしないのに何が楽しいのか…まあ本人が良いようなのでよしとするか。
うちのクラスは度々訪れる黄瀬の奇行になれているのか概ねいつもどおりに過ごしていた。

「黄瀬、昼飯は?」
「さっき買って来たっス!」
「それで足りんのか??そもそも栄養が…」
「あ、紅葉っちの卵焼き美味しそうっス!!」
「人の話を聞け」

キャンキャンキャンキャン騒ぐので仕方なく口に放り込んでやると嬉しそうにする。
結局オカズをちょいちょい分けてやりつつ話もして昼休みいっぱい居座った。

そんな日がしばらく続いた。
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