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□懐柔
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「研磨、おはよう」
「紅葉…おはよう」
「相変わらず朝弱そうだね、アップルパイ食べる?」
「…食べる」
挨拶よりもきっぱりと言い切って、紅葉が朝パン屋で買ってきたパイを食べ始める。
「喉詰まるよ」
「…ありがと」
「おーい、研磨」
「クロ?」
「朝からアップルパイかよ…」
「紅葉がくれた」
「そーかよ、悪いな、紅葉」
「いえいえ、パン屋の前通ったら美味しそうだったので」
「にしても、お前らホントに仲いいよな、入学の時からは想像もできねえよ」
「クロうるさい…でも同感」
「まあ、お互いに不干渉だったしね」
「うん。」
「今となっては親友だね」
「……うん」
「(………研磨が否定しなかった…)」
猫のように気まぐれで基本人と馴れ合わない研磨が頭を撫でられても拒む様子すら見せず、寧ろ少し目を細める。
幼馴染みの変わりように驚く黒尾であったが、紅葉を見るともっと驚いた。
「(…なんつー優しい顔してんだよ)」
頭を撫でる紅葉は普段から表情は柔らかいものの、今はそれ以上に柔らかく慈しむような顔をしていた。
二人の周りはこれ以上ないくらいほんわかとした雰囲気で黒尾も思わず目元が緩む。
二人にそっと両手を伸ばし同時に撫でる。顔の作りは似てないのに、表情は全く同じでキョトンとした顔で見てくる。フッと笑うと予鈴が鳴り、わしゃわしゃと撫でてから背を向ける。
「昼休みは屋上で食べようぜって言いにきたんだ。またな、二人とも」
二人を見ないで手を振り教室から出る。
一つ下の幼馴染みとその親友はまた仲良く屋上に来るんだろうな…そんなことを思いつつ黒尾は騒がしい中でも大人しい二人にちょっかいをかけるべく昼休みを待ち望むのだった。
(…紅葉)
(ん?卵焼き?はい)
(ん…。…美味しい)
(そう?ありがとー)
((((これで付き合ってないのか…))))
何が書きたかったんだろう…とりあえず可愛い研磨が書きたかったんです(言い訳)