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□同胞
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(※及川と岩泉同じクラス設定)
(花巻口調迷子)
「あ、やべえ…」
「どうした、花巻?」

紅葉のとなりの席の花巻が唐突に呟いた。

「部誌渡すの忘れてたんだけどよ、今から教科担任のところにも行かないといけねえんだ。参ったな…。」
「そいつは災難だな…」
「なあ、代わりに…「断る」…。」
「バレー部の知り合いなんて国見くんか花巻ぐらいなんだよ。」
「そこをなんとか…!ジュース奢るからよ!」
「………。」
「バンホー○ンでいいか?職員室の帰りに買ってくるぞ」
「しょうがないな…何組の誰?」
「助かる!5組の…及川か岩泉に渡してくれ!」
「…及川って人うるさいんじゃなかったのか?岩泉って人は?」
「あいつは真面目だし信用できるぞ!顔の写真送っとくからな!」
「了解」

よっこいせ、と年に似合わない掛け声と共に昼休みの喧騒の中に消えていった紅葉。多少面倒くさがりだが花巻のいい友達だ。

「(この人が岩泉か…。)…あ。」
画面で顔を確認しながら歩いていると女子にぶつかった。
「きゃっ!」
コケそうになった女子の腰に腕を回し支える
「おっと…悪いな、怪我はないか?」
「…?あ、だ、大丈夫です!」
「?そうか。」

顔が近かったせいか顔を赤くされた。
そっと離すと慌てたように教室に引っ込んでしまった。よく見たら5組で、ついでに呼んでもらえばよかったと後悔していた。
改めて教室を覗くと、目の前に一人の男が立っていた。

「あの…」
「ん?見ないけど可愛い子だね、どうしたの?この及川さんに何か??」
「は?君に用はないよ私は…」

及川とか言う奴話の途中で手を取りやがった。なんだこのスキンシップは

こ、こんなのが主将…?

「で?君のお名前は?」
「名乗る気はない、手を放せ。」
「ツンデレさんかな?恥ずかしがらずに…」
「うるさい、だいたいお前には用がないと言ってるだろう。私はこのクラスの岩泉って言う人を訪ねて来たんだ」
「ん?岩ちゃん?へー、この及川さんを差し置いてこんな可愛い…というより美人さんかな?虜にしちゃうなんて…。」

手を引こうにもガッチリ掴まれてて抜けれない、いつの間にか頬擦りまでしている。

「人の話を聞け、そして放せ。」
「あ、メアド交換しない??」

…こいつ…。さっきから黙ってれば…。周りに気を配ってみると女子たちの恨めしそうな顔…そういえば花巻が言ってたな…こいつモテるって…。
まあどうでもいいけど。

「…いい加減はなせ。この変態!」
「うぐっ!」

振りかざした手から部誌を離し、空いた手で横腹を殴った。周りの人はおろかクラスの女子もギョッとして静まり返った。

「お前ほどのイケメンなら自分を好いてくれてる人と握り放題だろうが!もっとクラスの可愛い女子と握ってろ!…ったく」

「あの及川が女子に殴られたぞ…」「変態って…」そんな囁き声があちこちで聞こえるなか、さっきの顔を赤くした女の子が飛んでいた部誌を持ってきてくれた。

「…ふぅ。あ、すまない。助かったよ。ありがとう…なんか悪いな、迷惑かけてばっかりだ」
チラリと驚きで固まっている及川を見てまた女子に目を戻す。
「そ、そんなこと…。」
「そうか?ありがとう。できれば、また何かあったら助けて欲しい。頼めるか?」

部誌を渡してくれた手を握り頼むとまたさらに顔を真っ赤にしながら頷いてくれた。

「?(まあいっか。)」

「…?何してんだクソ川。」

今までどこか行ってたらしい岩泉らしき人物が反対のドアから入ってきた。

「…岩泉くんかな?」
「そうだけど。」
「…すまない。」

一応主将らしき人を殴ってしまったため頭を下げるとびっくりされ、必死に止められた。事情を話すと、
「ああ、それくらいなら大丈夫だろ。むしろ悪かったな、このクソ川が。普段からシバいてるからべつに問題ねえよ。」
「そうか…大変そうだな、岩泉くんも。」
「…分かるか?」
「ああ。…あ、これ例の部誌な。」
「おお、サンキュー」
「岩ちゃんー、ちょっとは心配してくれてもいいんじゃないのー??」
「うるせえクソ川!むしろこいつが優しい奴でよかったな、俺だったらその顔狙ってやってたのによ!」
「岩ちゃんひどい!」

「…あ、必要ないかもしれないが一応名乗っておく。こちらだけ知ってるのも不公平だからな。若葉だ。若葉紅葉。」
「ご丁寧にどうも、岩泉一だ。よろしく」

互いに握手をすると、潔く別れた。

「じゃあな、岩泉くん」
「呼び捨てでいいぞ、こっちも呼び捨てにするから。若葉…花巻によろしく。」
「ああ。」

報酬のバンホー○ンをもらい、友達もできたとさ。

おわり

「(若葉か…いいやつそうだな。)」
「(あの若葉ってやつ女なのに男前だったよな…)」
「(若葉さん、素敵!)」

天然たらしっぽい紅葉でした。


続くかも?

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