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□磁石
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待ち合わせをしていたわけじゃない。
個々の部活や作業を終えて帰路に着こうと校門を出るとき、バッタリ遭遇した。

「あれ、赤葦?」
「…若葉?」

日が長くなってきたとはいえ流石に7時近くとなるともう辺りは薄暗い。
それでもお互いが分かるのは恋人だからか否か、とりあえず認識し合うと自然と横に並び歩き始める。

「まさか会えるとは思わなかった」
「俺も。ていうかこんなに遅くなるなら連絡しろよ、帰り道危ないだろ」
「…ここまで遅くなるとは思わなかったんだけどなー」

小さくため息はつかれたけど、それ以上は言ってこなかった…でもその無言が少し痛い。

「…赤葦」
「………………。」
「け、京治…」
「ん?」
「…ごめん」
「うん」
「手、繋いでいい?」

二人の時は名前じゃないと反応してくれない。改めて横から伺うように言うと、珍しい とでも言いたげにチラッとこっちを見て私の手をさらった。

「珍しいな」
「うん、自分でも思った」
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