S.S.Rockman AnotherU−Vanish Pleiades−
□第8章 終わりの襲来
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「・・・・・・スバル君」
スバルの部屋で見つけた、小さな光。
ソロはロックマンの残留電波と呼んでいた。
今ヨイリーが解析している、ロックマンの唯一の手掛かりである僅かな希望。
その希望は、不安定なミソラの精神を、あと一歩で破壊してしまうというところでなんとか押さえつけているといっても過言ではないだろう。
世界のあらゆる電波が消滅した世界にミソラを結び付けている、唯一の光。
「・・・・・・お願い・・・スバル君・・・!」
もはや呪いにでもかかってしまったかのように、ミソラは繰り返し呟き続けていると――――――
ビー! ビー! ビー!
突如、支部中に大音量の警報音が鳴り響く。
「・・・!? なに!?」
突然の事態に動揺しつつも、ミソラはヨイリーのいるモニター室へと走り出した。
モニター室のドアを潜ると、ヨイリーとソロが立ち尽くしていた。
「どうしたんですか!?」
「・・・発生したわ・・・・・・アンチウェーブが・・・!」
「・・・!!」
世界中のウィザードを・・・そして電波そのものを消滅した、まさに今の時代における最悪であり災厄である、アンチウェーブ。
それがまた現れたという事実に、ミソラは全身を震わせる。
「・・・・・・驚いているところに追い討ちをかけるようでわるいんだけど・・・事態は私たちが思っているよりも深刻みたいなの・・・・・・!」
「・・・どういう・・・意味ですか?」
ミソラは震える口を必死に動かして、問い掛ける。
正直聞くのは、怖かった。
・・・でも、もう逃げるのは止めた。
どんな残酷な状況でも、受け止めるって決めたから・・・!
「・・・このアンチウェーブ。センサーで確認する限り、まるで意思を持っているかのように不規則に動いているの。・・・・・・おそらく電波体・・・いやこの場合、反電波体と言うべきなのかしらね」
「・・・・・・つまり、このアンチウェーブは『生命体』と言うことか?」
「そう考えるのが妥当ね。その場にいるだけで周囲の電波をことごとく破壊してしまう・・・この電波世界においてまさに厄災と呼べる存在・・・!」
「・・・・・・アンチウェーブの位置座標を教えろ・・・俺が行く」
ソロがそう言うと、その場にいた二人が揃って仰け反り、濁った表情を彼へと向ける。
「何言ってるのよソロ!?」
「そうよ! いくら貴方がノイズにも堪えられる体を持っているとしても、アンチウェーブは電波そのものを強制的に破壊するのよ!? ブライといえど相手が悪すぎるわ!」
「・・・関係ない。俺にとって障害となり得るものは全て倒す・・・それだけだ」
「・・・・・・任せて・・・いいのね?」
「・・・早く教えろ」
「・・・・・・・・・セントラルシティ・・・。そこにアンチウェーブはいるわ」
ヨイリーが重々しく言葉を放つと、ソロは素早い動作で取り出したハンターVGを勢いよく腕に装着する。
「・・・電波変換!」
ハンターVGを装着したソロは腕を高く掲げてそう叫ぶと、紫の光が瞬く間に彼を包んでいく。
・・・パアァァァン!
瞬間、豪快な破裂音が響きそれと平行して光が晴れる・・・と、そこに立っているのはソロが電波体となった姿。
「・・・・・・ブライ・・・!」
思わずミソラがそう囁いた。
何度も・・・何度も何度も何度も。
私達と戦いを繰り広げた、ムーの末裔にして孤高の戦士。
・・・・・・何故だか胸が痛い。
かつての、バミューダラビリンスでの激闘。
あの時の傷はとっくに完治している筈なのに・・・。
この独紫の戦士を前にすると、まるでフラッシュバックしたかの様に、いつかの記憶も・・・傷も・・・はっきり脳内に映し出される。
「・・・・・・響ミソラ」
「・・・! な・・・なに?」
不意に・・・でもないが、今まさに頭の中を巡っていた本人に唐突に声をかけられ、ミソラはビクッと体を震わせた。
「・・・・・・お前は、今できることをするんだな。・・・『あいつ』がそうだったように」
「・・・・・・!!」
その言葉を残すと、ムーの戦士は一瞬でその場から消え去った。
「・・・・・・今できる、こと・・・? 」
ミソラは迷走する。
何の力もない今、自分にできることとは何なのか。
『あいつ』・・・ロックマンがしていたことが何なのか。
ミソラには・・・何もかもが解らなかった。
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