S.S.Rockman AnotherU−Vanish Pleiades−

□第7章 理由【わけ】
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「そういえば、何で私たちだけスバルくんのこと覚えてるんだろ?」


ヨイリーが行ってくれているミソラたちがスバルの部屋で見つけた残留電波の解析を待つ間、ミソラとソロの二人は別室で束の間の休息を取っていた。



「フン・・・それが分かれば苦労はしない」


「おかしいよね、スバルくんと一番長く一緒にいたあかねさんやルナちゃんたちも覚えてなかったのに・・・」


「そんなことは俺には関係ないことだ」


「なによそれ! 貴方もスバルくんのことが心配なんじゃないの? だからスバルくんの家に来たんでしょ!?」


「心配? ・・・馬鹿なことを言うな。なぜあんな友達やキズナなどと甘いことを口にするような奴を気にかける必要がある」


「なっ・・・!」


「・・・ただ」


ミソラはまさに堪忍袋が切れたかのように込み上げる怒りをぶつけようとしたが、ソロが一言呟いたのを聞くと、聞いてやろうと言わんばかりに耳を傾ける。



「・・・・・・ただ?」



「アイツとの決着はまだついていない・・・・・・それだけのことだ」



「決着・・・」



スバルとソロ。・・・ロックマンとブライ。


二人は今まで幾度となく戦いを繰り広げてきた。


あらゆる場面、時間で、己の信じるものの為に全てをかけて。


・・・形は違えど、二人は案外似ているのかもしれない。



「・・・・・・ねえ、ソロ」


「なんだ?」



「ソロ、私・・・・・・戦いはいけないことだと思う」


「・・・?」


「だって痛いでしょ? 痛いのはだめだと思うの!」



・・・いきなり何を言っている・・・?


ソロは目の前の少女の突然の話・・・というか話の内容に耳を疑った。


今それを言うのかこいつは・・・?



「・・・・・・痛いのは弱いからだ。強ければ痛みなど感じない」


「でもそれじゃ自分は良くても相手は痛いじゃない! 理由はどうあれ誰かが痛い思いをするのは間違ってると思う!」


「・・・・・・」



・・・そんなこと考えたこともなかった。


戦いが・・・戦うことがいけないことだと?


「分かってる・・・今こんなこと言っても何の解決にもならないってことは・・・。・・・だけど!」




「・・・・・・フ、愚問だな」


「えっ?」


そうだ、考えるまでもなかった。


・・・全ては『一つ』なのだから。



「戦いに意味はない。戦士と戦士が出会った時、本能に従って戦うだけだ。・・・俺とロックマンのようにな。戦闘に善悪は存在しない」


「でも! ロックマンは戦うことは嫌がってた!」


「・・・響ミソラ」


唐突に名前を呼ばれ、ミソラはなんとなく慣れない感覚を覚えつつ驚いた。



「そのロックマンがなぜそれでも戦ったのか・・・それを考えるんだな」



「・・・・・・!」



「・・・お前が思っているほど、この世界は綺麗じゃない。正しいことが最も弱く脆い、不条理な世界だ。・・・お前が俺に伝えたいことは『分かっている』。・・・・・・俺は、俺だ。それは変わらない。・・・そして、あいつも・・・・・・」



そう言うと、ソロは静かにその場から立ち去った。


「・・・ロックマンが・・・スバル君がそれでも、戦った理由・・・・・・」


ミソラは、自身の考えうる最大限の力を振り絞ってその『理由』を思考したが、考えても考えても、何も浮かばなかった。

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