S.S.Rockman AnotherU−Vanish Pleiades−

□第4章 遺されたもの
1ページ/1ページ


「何で・・・あなたが・・・!」


ミソラは、目の前に佇む少年を知っている。


かつて、スバル・・・ロックマンと幾多もの戦いを繰り広げた敵であり、古代文明ムーのただ一人の生き残り、ソロ。


「全世界のウィザードの消滅に加えて星河スバルの失踪・・・動かないほうがどうかしている。・・・俺のラプラスも消えてしまった」


「・・・! ・・・・・・何が、起きてるの・・・?」


「それを知っていればこんなとこに来たりはしない。・・・だが、どうやら手がかりは見つけたようだ・・・その手の上にある光」


ソロの言葉で、ミソラは思い出したかのように自分の手のひらへと瞳を向ける。


殺風景な空間へと化してしまったスバルの部屋。



その中央の位置でチカチカ青白く発光していたもの・・・どうやらこれは、何かの電波のようだ。


「これは・・・もしかして・・・!」


「おそらく星河スバル・・・正確にはロックマンの残留電波のようなものだろう」


「スバル君・・・・・・!!」


「・・・・・・電波変換!」


「!!」


不意に放たれたソロの声に、ミソラは反射的に体を震わせる。


その声が合図であるかのように、瞬間ソロの体は紫色の光に覆われた。


光が止むと、そこにはソロが電波変換をした姿、ブライが立っていた。


「・・・・・・ブライ・・・」


基本、人間が電波へとなること、すなわち電波変換をするためには、電波の体を持った電波体の力を借りる必要がある。


スバルもウォーロックという電波体がいたからこそ『ロックマン』へと電波変換をすることができ、同様にミソラもハープがいたから『ハープ・ノート』になることができた。


しかし、ソロに至ってはその範疇ではない。


その昔、電波のテクノロジーを駆使して繁栄していた古代文明ムーの末裔であるソロは、自身に宿るムーの力によって一人で電波変換をすることができる。


「・・・その残留電波を渡せ」


「! ・・・どうするつもり?」


「WAXAに行く・・・。あのヨイリーというやつなら、星河スバルの記憶が失われていてもその電波の解析くらいはできるだろう」


「・・・・・・・・・私・・・」



一言、放とうと思った瞬間、思考が固まる。


・・・今の私に、何ができるの?


スバル君も、ハープもいない・・・今の私には、電波ウィルスともろくに戦えないのに・・・。




――――――僕は、みんなを守る! ・・・キズナを、守るんだ!!――――――



・・・・・・! ・・・そうだ、力があるとかないとかじゃない。



ただ、守るんだ! スバル君ならどんな状況でも絶対にそうする・・・!


かつて、FM星人が地球に訪れた際、瀕死の状態だったウォーロックとハープ・ノートを守るために、身一つで敵陣に乗り込み稲妻を生身で受けた時のように。


確実に勝てる見込みのない戦いを挑まれても、決して後ろを振り向かずにひたすら突き進んでいった時のように。



・・・・・・今度は、私の番だ。




「・・・私も、WAXAに連れて行って」


「・・・今のお前はウィザードのいない生身の人間だ。命の保証はできないぞ」


「わかってる。でも、このまま何もしないのは耐えられない! 私も知りたいの、今スバル君がどこにいるのか・・・。私もスバル君・・・ううん、みんなとのキズナを守るために戦いたい!!」



「・・・・・・キズナ、か。・・・フン、いいだろう好きにしろ」


刹那、紫色の一筋の光は天高く昇っていった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ