S.S.Rockman AnotherU−Vanish Pleiades−

□第3章 一人と独り
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「スバル・・・? はあ・・・うちに子供は居ないわよ?」



星河家正面にて。


星河スバルの母親であるあかねのこの一言を聞き、ミソラは自身が抱いていた微々たる可能性が音を立てて崩れ去ったのを感じた。


「そんな・・・そんなっ!!」


「あっ、ちょっとミソラちゃん!」


あかねの抑制を耳にも暮れず、ミソラは一目散に正面に立つ星河家へと入り込む。


階段を駆け足で上り、二階にあるのスバルの部屋があるはずのドアを荒く音を立てて開け放った。


「・・・・・・・・・嘘だ」


のさスバルの部屋とおぼしき部屋は、悪い意味でミソラの期待を裏切らなかった。


その部屋のことを一言で述べるなら、『何も無かった』


机も、椅子も、ベッドも、テレビも、ポスターも、望遠鏡も。

ほ本来この場所にあるはずの、なくてはならないものが、何も無い。


まるで新築の一室のような部屋の姿が、そこには広がっていた。


「嘘・・・! 嘘嘘こんなの嘘だよッ!! ねえ、居るなら返事してよスバル君ッ!!!!」


いくら声を響かせても、帰って来るのは、無音と絶望。


気付けば、瞳からはボロボロと涙が流れ続けていた。


「・・・・・・私、 どうすればいいの・・・? スバル君も、ハープも居ない・・・」


ここに向かう時は夢中で周囲なんてろろくに見ていなかったが、きっと外はウィザードの消滅で大混乱だろう。


こんな時に立ち上がって来たのが、ヒーローなのに・・・ロックマンなのに。


彼ならなんとかしてくれる・・・。


いつも、そう思っていた。


でも、今は居ない。


ミソラにとって、理由なんて二の次だ
った。


ただ『居ない』という結果が、彼女を崩していく。


・・・私一人じゃ、何もできない。


「ううっ・・・スバル君ッ! ハープゥ!! ・・・お願い・・・・・・私をまた独りにしないでよぉ!!!」



・・・・・・キラン



うつむいて泣き崩れるミソラは、涙で霞む視界の中、部屋の地面に小さく光る物を瞳に映した。



なおも流れ続ける涙をそのままに、ミソラはチカチカ青白い光を放っていた物体の元へと近づき、そっと手に乗せる。


「これは・・・・・・?」


「フン、おおむね『青い流星』の遺産といったところだろう」


「!!」


不意に背後から放たれた男性らしき声に、ミソラは顔を驚愕に染めながらバッと振り返った。


「・・・・・・あなたは・・・ッ!」


「お前は確か・・・響ミソラといったな。この状況下でここにいるということは・・・・・・お前は『覚えている』みたいだな」


ミソラは眼前の少年を知っていた。


白の髪に、奇怪な紋章の入った服。


そして、深紅の光を宿す、冷たい瞳。



「・・・・・・・・・ソロ・・・!」

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