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□長い夜
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現パロ&オメガバースパロ
子持ちです
社会人グレンと学生優ちゃん


部活が終わって帰宅する頃には既に星が空に散っていて、今日はグレンが家に居ると聞いて急いで帰って来て、上がった呼吸を静めるようにして深呼吸し、扉に手をかける

「ただいまー」
「あ、パパかえってきたー!」
「おー ただいま、紅優」
「おかえりっ!」

玄関の扉を開ければ紅優(くれはる)が出迎えに来てくれた
天真爛漫に笑って駆け寄って来た紅優に目線を合わせる様に屈み、二人ニシシと笑う

「紅優、グレンは?」
「ママなら今ご飯作ってるよ」
「ふうん…因みにご飯なに?」
「カレー!」
「マジか!よっしゃ!!」

グレンはあれでボンボンだったから、俺と結婚するまでは料理をしたことがないらしく、料理が得意じゃない
でも、俺も自分も好きだからとカレーだけは練習したみたいで、今は俺より美味い
小百合さんの作るカレーも美味いけど、俺はやっぱりグレンが作るカレーが好きだ
食欲を誘う匂いがするリビングへと紅優と一緒に歩く

「帰ってたのか。おかえり」
「おう、ただいま」

風呂場の扉から洗濯物の入った籠を抱えてグレンが出て来た
リビングのほうを一瞥してから、俺を見る

「もうすぐ出来るから、皿とスプーンとコップ出しとけ」
「はいよー」
「あいよーっ」

軽く手を挙げ敬礼すれば、紅優も真似て隣で敬礼する
マジ可愛い
その様子に目を一瞬丸めてから、苦笑を浮かべながら、寝室に歩くグレンを見送って、リビングに入る
カレーの匂いが強くなった

「あー…腹減ったぁ」

思わず無意識に呟くと、また紅優も真似をして舌足らずに言う
言われた通り、テーブルを拭いてから皿やスプーンなどを出して準備する
珍しく、グレンがいる晩御飯
久し振りに、家族揃って食べる晩御飯

「早く出来ねーかな」

圧力鍋にかけられたカレーのたてる湯気をちらりと横目に見て小さく呟いた



皿洗いを一通り終え、風呂も適当に入りリビングでゆったりとした時間を過ごす
少しして電気を消して、寝室に向かう
先に寝ていたグレンと紅優が寄り添い寝息を立てているのが聞こえ、物音をなるべく立てずに寝室に入れば、暗闇に慣れた視界に可愛らしい寝顔が二人
肌触りの良さそうな、手前にいたグレンの頬に吸い寄せられるように無意識に手を述べて軽く撫でると、閉じられていた瞼がゆっくりと押し上がり、紫玉の瞳が、瞼同様ゆっくりと此方に向けられた

「…優?」
「あ、悪ィ…」
「いや、別にいい」

眠たげな、独特の舌足らずな口調
紅優を起こさないように慎重に体を起こして、小さく溜息を吐くと、伴って下がった肩のせいで襟の布が前に下がる
覗く、暗闇の中でも分かる血色の良い肌色に思わず喉がなった
この前ヤッたのいつだっけ、ってなる程度には、長い間お預けくらってる気がする
なんだかんだ俺もグレンも忙しいから
だから、これは、仕方ない

「っ!?、おいコラ優…!」

起き上がったグレンの双肩を掴み力を込め押し倒すと同時に、馬乗りになる
ギシリとスプリングが二人分の重さに悲鳴を上げた
俺を睨みつけてくる紫の瞳も、もう無視

「グ、レンっ…!」
「っひぃ、ぐ…ぁ、いッ、た…」

血に飢えた吸血鬼みたいに、浅く息ををして目の前の剥き出しの首筋に、牙を立てて噛み付く
苦悶に上がる声すら腰にきた
子供が隣で寝ているというのに、何をやっているんだろうか
言い知れぬ背徳感で罪悪感を抱くも、それ以上に、ひどく興奮した

「ん…」
「ふんんっ! む、う…ふ…んぅ…っ」

強引に乱暴に、遠慮もなく獣みたいに唇を貪る
無理矢理舌を捩込んで口腔内を蹂躙すれば、僅かな抵抗もなくなった
たっぷりと堪能した後漸く唇を離せば、どちらともつかない銀糸が引かれる
直後、ぶわりと室内を充満する、甘い香り
その香りの意味する事と、組み敷いたグレンの、紅潮した頬に、ニヤリと口許が緩んだ

「発情期きた?」
「…うるさい」

首を傾げて問い掛けてやれば、可愛くない反抗的な言葉
すごく可愛い
シャツの裾から手を滑り込ませ、ゆっくりと腹部から上に撫でればピクリと跳ねた肩
相変わらず感度は良好だった

「ちょ、待っ…紅優、寝てる…」
「んー? 分かってっけど…で、だから我慢しろって? 無理」
「お前な…!」
「俺も…実際お前も、苦しいだろ? だから、無理」
「…誰のせいだよ」
「俺のせいだな。だから責任取るってば」
「………」
「大丈夫、起きねぇって」

根拠もない適当なことを言ってからグレンの首筋に顔を埋めて軽く吸い付けば、紅く鬱血した
やがて諦めたように小さな溜息が頭上から聞こえて、首に回された腕は、了承と受け取っておこう
チラリと隣を見れば、薄く開かれた紫色のくりくりとした目と目が合って、ドキリとしたけれど、すぐに閉じられて苦笑を浮かべて、安堵する
訝しげに向けられる切れ長の紫色を手で覆い隠し動揺を誤魔化して、また柔らかい唇に噛み付いたなら、長い長い夜が始まる合図

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