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□ご予約、承ります
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「で、出来た…!」
黄色のクロスで包んだお弁当箱を、そっと鞄に入れる。
誰にも見られたくなくて、ちょっと風が冷たい早朝に家を出た。
山を駆け登って、校舎に入る。
そうっと職員室を覗くと、ちょうど殺せんせーだけが座っていた。
これは、チャンスかも。
「先生っ」
「おや霧島さん、おはようございます。随分と早いですね?」
「おはようございます…あの、これ、先生に」
ゆっくり包みを手渡す。
私、ぎこちなくなかったかな。
うつむいていると、黄色い触手がそれを絡めとった。
「これは…お弁当、ですか?」
「えっと、昨日先生が必死だったから…」
しどろもどろになりながら先生を見上げると、先生の顔は薄ピンク。
「ありがとう、霧島さん。先生、とても嬉しいです」
ぽん、と触手が一本頭に置かれて、何も考えられなくなる。
ああ、どうしよう。
きっと真っ赤なこの顔は、どうやってごまかそうか。
ご予約、承ります
先生のためなら、いつだって。