殺せんせーの事なんて全然好きじゃないんだからねっ!

□に
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私がいつも敬語を使うようになったのは、小学校の時だった。

「育ちが良い」とか「上品だ」とか、とにかく大人に褒められることに気付いたから。

子供らしくない、と眉をひそめられることもあったけど、私には関係無かった。
自分は大人だと思い込んでいたからだ。



「残念ですねぇ、今日も命中弾ゼロです」

ニヤニヤと笑う先生は、続けて言った。

「数に頼る戦術は、個々の思考を疎かにする。一人ひとりが単純すぎます」

BB弾を片付けながら、先生の言葉を聞き流す。
一人ひとりなんて言ったって、私一人の事なんてきっと見えていないんだ。

こんな卑屈な思考を展開する辺り、私は子供。
結局のところ、人の視線が恋しくて「暗殺」する気になった訳だし。
馬鹿みたいだ。

「では、授業を始めます」

やる気になれないまま、ノートを開いた。
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