殺せんせーの事なんて全然好きじゃないんだからねっ!

□いち
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「私が、月を爆破した犯人です。来年には地球もやる予定です。君達の担任になったのでどうぞよろしく」

「単刀直入に言う、この怪物を殺して欲しい!」


E組に落ちた私の憂鬱な新学期は、唐突かつ意味不明な始まりを果たした。





「ねー、できると思う?月花ちゃん」

「何で私に聞くんですか、陽菜乃ちゃん…」

その日の帰り道、ゆったりと家に向かいながら陽菜乃ちゃんと途方に暮れていた。

落ち込みながら教室に行ったら、いきなり月を爆破した超生物が担任になるから殺せ、報酬は百億円だなんて。
誰が何を考えているのかさっぱり解らない。


「うーん…百億もらえるならやってみたくない?なんかマンガみたいですっごいよね!」

楽しそうに語る陽菜乃ちゃんに、曖昧に頷いた。



殺さないと、私達は死ぬ。
でも、なんだか皆みたいに「殺る」気にはなれない。
鞄から覗く対先生用ナイフのケースに、ちょっと心が痛んだ気がした。
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