探偵

□カミカゼ
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「おーっ!!すっげえー!!いっぱい釣れたなー!!」
「みんなの合わせたら20匹ぐらいいるね!!」

そう言ってバケツの中の釣れた魚を見ながらはしゃいでいるのは少年探偵団のみんな。今は丁度海釣りを終え成果を見ていたところだ。
ところでなぜ私がここにいるのかというと、保護者として行くはずだった蘭ちゃんが急遽行けなくなってしまい子ども達と面識があり仲も良い私に白羽の矢が立ったのだ。阿笠博士だけでも全く問題はなかったのに子ども達が会いたがっているからとコナン君に言われたのでそれならば、と誘いを受けた。

「遥さん、今日は来てくれてありがと!」

コナン君が言ったのに続いて他の子も可愛らしい笑顔でお礼を言ってくれるから来たかいがあったなと思う。ただ1人、哀ちゃんは素っ気ない。前に少し気になってコナン君に私嫌われているのかな、と聞いたことがあったがあれが通常運転だから気にするなと言われた。気にしないなんてことはできないけど、コナン君がああ言うんだから大丈夫なんだろう。

「さあみんな、そろそろ道具をしまって。帰り仕度をした方がよさそうだぞ!迎の船が来たようだ!」

そう言うおじさん――江尻さんは急用で帰った阿笠博士の代わりに子ども達の面倒を見てくれた人だ。前にある事件でコナン君と博士に命を助けられたらしい。
江尻さんの言うとおり海にはここに向かってくる船が見えた。子ども達もそれに気づき「博士〜!!」と船に向かって手を振っている。が、船に乗っていたのは博士ではなく若い男性だった。子ども達は一応彼、沖矢昴さんのことを知っているようだったが困惑気味だ。

「ええっ!?博士来られなくなった!?」
「自動ハムエッグ作り機の調子が悪くて苦情が殺到しているらしくてね…。」

時間がかかりそうだから沖矢さんが頼まれて代わりに迎えに来てくれたらしい。何てお人好しなんだろうこの人は。
早くしないと陽が暮れる、と言われ船に乗り込む子ども達を見ていると、哀ちゃんがコナン君にしがみついていた。何かに…、というよりこれは絶対沖矢さんに怯えている。そのままコナン君の後ろに隠れ乗ろうとし、足元に注意が向いていなかったからか小さな段差に躓いてしまった。沖矢さんが手を伸ばそうとしているのが見えたがそれよりも早く私が哀ちゃんを抱きかかえた。何かを警戒しているみたいだったから、余計なお世話かもしれないけど放っておけなかった。
軽く注意してから抱っこしたまま船に乗れば「ありがと。」と聞こえてきた。何に対してかはわからないけど。私もどういたしまして、とだけ返し降ろしてあげた。



*****



船の中で私と沖矢さんはお互い軽く自己紹介をした。彼は大学院生らしい。
途中、一角岩と呼ばれる伝説の岩に立ち寄った。歩美ちゃんが夕陽をバックに写真を撮ろうと提案し、沖矢さんが携帯で撮ろうとしたそのとき。哀ちゃんの後ろの岩に何かの文字が刻まれているのを発見した。"サバ"、"コイ"、"タイ"、"ヒラメ"と上から順に書かれている。さらに元太君は岩の間に挟まったフィンを見つけた。どちらも真新しいものだ。それを見たコナン君が岩全体を確認するために走りだした。
…やっぱり何かの事件に巻き込まれるのか…。
そして案の定、そこには女性の死体が。コナン君はいつも通り子どもらしからぬ冷静さで遺体の確認を済ませ、さらには女性のそばに置いてあったレギュレーターから殺人だとほぼ断定し、日焼けの跡を見て推測し先程の文字を刻んだであろう時計まで探し当てた。
大人でもここまで出来る人なんてそうそういないよ。まあ、沖矢さんはわかってたみたいだけど。

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