HAPPY

□HAPPY 8
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《おかえり、ルハニ》





換気のためにあけていた窓を閉めた。
ヒューとつめたい風がやんだが、
あたりはまだ寒いまま。

セーターの袖を伸ばして、
手と手をこすり合わせる。

手の先は寒い。

窓の外を見上げたら、
既に沢山の星が見える。

きれいだななんて思いつつ、
カーテンを閉めた。



この頃はもう長袖ばかり。

寒い日が続くと、
ご飯を作るときに
温かいものを作りたくなる。


今日はルハニが好きな火鍋。
ぐつぐつと沸く鍋を見て、
少し微笑む。

この出来上がる瞬間を
待つのが結構好き。



ルハニは、この頃忙しいみたい。

少しだけ遅くなるかも?
なんて最初は笑っていたのに、

今日は遅くなるねの
メールが届く日が続いて、

それが伸びて

伸びて、

いつのまにやら
終電近い時間が連日になった。



最初はご飯を一緒に食べようと
待っていたけれど、

伸びていく時間にともなって、

先に食べててねと
ルハニが言うようになった。



それでも、一緒に食べたいから
最初は待っていて、

その日は疲れていたのか、
机の上においたご飯を前に
いつのまにか寝ちゃって、


目が覚めたら、
自分だって疲れてるのに
心配そうに見てるルハニがいて。



眠気まなこをこしこしこすりながら、

「ルハニ、ご飯食べた?」

そうと聞くと、
スーツを脱ぎながら、

「まだ」

というから、
一緒にテーブルについた。



温め直したご飯を
一緒に食べる。


久々な感じもするけど、
一緒に食べれて嬉しい。


こんなことがあった
あんなことがあったを話しながら、
談笑していたら、


「ミンソクが元気じゃなきゃ困る」


急にルハニがそういった。


子供みたいに口を尖らせて、

ご飯粒つけながら言うもんだから、
笑ってしまったら。


「真剣に聞いて!」


ルハニが、怒ってそういう。


「俺だって、
こうやってミンソクと一緒に食べたいけど、
どうしたって遅くなっちゃうし、


それでこうやってミンソクが
ご飯をたべれないなんて、嫌だ。


だから、
ご飯はちゃんと食べて欲しい。


遅くなりそうなときは言うから、
先に食べててね、ミンソク」


「お願い!」

って結構真剣な目で言うから、

わかったよっていって、頷いた。








今日の朝だって、
ベットから起きるとルハニの顔。

いつものように
がっしりと俺の体を抱きしめていて、

それはもういつものことだから
いいのだけれど、

寝起きのルハニの顔が白くて、
心配になる。

疲れているんだから
ギリギリまで寝かせたいのに、


「おはようミンソク」


ルハニが笑うから。

嬉しいんだけど、
ちょっとつきっとなる。


寝ててと、
何度言っても

キッチンで朝ごはんを作る俺の腰を
抱きしめて、

肩に顔を埋めて、


「ミンソクがいるから、
頑張れる」


「うん」

抱きしめられつつ、
顔が真っ赤になってるのがわかる。


嬉しそうなルハニ。
それでもさ。

一度手を止めて、
後ろを振り返ると、
やっぱり疲れた顔のルハニ。


胸が痛い気持ちのまま、
ルハニのほほに手をおいた。


「俺もルハニがいるから、
頑張れる。


だけど、
ルハニの体も心配。


無理は、
するなよ」


目と目を合わせてそういったら、
なんとなくルハニが近づいてきて、
キスをした。



なんだか、あったかくて切なくて、
でも嬉しいキス。


そのまましばらく、
二人抱き合ってた。









「今日は早く帰れそう!」


朝家を出る前に
笑顔で嬉しそうにいうルハ二。


嬉しくなって笑っていると、
不意打ちにキスされた。


そのまま手をつかまれて、
ルハニがしたから覗き込むように、

そう、いつもの
[お願い]だ。



「だから、

今日、一緒に晩御飯食べて」


「いいよ」

だって、
ルハニ頑張ったから。

それくらいは
やってあげるつもりでいた。

「俺の好物がいいなぁ、ミンソク」


「わかった作っとく」


次々に笑顔で繰り出されるお願い、

それがかなっていくことに
嬉しそうなルハニ。

そうしたら、
思いついたようにこういった。


「そして、久々に、やっちゃう?」


少し拭いた。


「何言ってんだ」


「そんなこといって、ミンソクだって本当はしたいくせに」

動揺が動揺を読んで
また顔赤くなってる。


確かに、

ちょっと位は、

そう思ったけれど。


「朝そんなこと言うなって。」


そういえるのが精一杯。


「はいはい、わかってるよ。
ミンソクが本当はやりたがってるって」


「ルハ…」


恥ずかしくて、

思わず繰り出したパンチを

ルハニはよけながら、

むしろその手をルハニが取って、

胸の中で、抱きしめられて。



「一緒にご飯、食べよ?」



約束とささやかれて、

うんと返事した。



急がなきゃと

笑顔で出て行くルハニを見送って、

赤くなった頬に手を当てた。




好きに決まってるじゃんか、ばか。

嬉しくなって笑顔になって、

その後の仕事が楽しくて、

嬉しくて。



ルハニの大好物をつくるために、

スーパーに寄って。



今、つくってます。




携帯がピコんとなる。


「もうすぐ家だよ」


ハートマークたっぷりの
ルハニのメール、


いつもながら
なんて返していいのかわかんなくて、


いつもだったら、

ここで「うん」とだけしか書けないけど、


ずっとルハニは頑張ったし、


そうして、携帯をピコピコと触って、



「待ってる。


ルハニ、大好き❤」




送信!



それだけ書くのも恥ずかしくて、


顔真っ赤だけれど、



ルハニから、


溢れんばかりの❤が書かれたメールを見て、


なんだか笑ってしまった。





待ってるから。


ルハニ。




ルハニが、


玄関のドアを開けるまで、


もう少し。










アンケートありがとうございます記念。
ルーミンでした。

HAPPYシリーズでのルハン家、
単発出演では、初ではないでしょうか。

なんかあったかそうな家族で
何よりです。


ぜひ、いいね!ぽちっとしてもらえたら
とてもカンゲキします。


それでは。

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