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□番外編
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No.3から
「クシュンッ!!!」
ズルズルっと鼻をすする男
ミラの住む町より、少し都会にある教会の聖職者である
「誰か噂をしているのでしょうか…
クシュン!!
はぁ…」
彼の名前はフェイト
曽祖父から頂いた名前で、オランダ語では真実というらしい
「噂か…
絶対ノワールの奴ですね…」
悪口を言いたいはずなのに職業柄、彼の敬語癖が直らない
普通に喋っている時ぐらいはタメ口を使ってみたい
「ミラ…大丈夫でしょうか…
胸騒ぎがしますね…」
庭に美しく咲いていたはずの一輪の美しいカトレア
さっきまで白い高貴な輝きを放っていたのに、何故か今は茶色く薄汚れているように枯れていた
「カトレアの花言葉…
魅惑的、そして魔力」
フェイトは枯れたカトレアを地から引き抜いた
「…可哀相ですね」
憂いを帯びた眼を伏せ、抜かれたカトレアを優しく我が子を抱き締めるように持つ
黒いマントを翻し、木造りの教会へと入って行く
風のせいで扉が速く、大きな音をたてて閉まった