王道くんになりたい!・番外編

□新年あけおめ2017
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大吉!
名倉くんと仲間たち・都合により1年組集合



今日は正月、いつもなら実家ですごしているのだが、『みんなで初詣に行きたい』との伊代や守の言葉を受け、俺たちは各実家の中間点に近い神社に初詣に行くことになった。とりあえず駅構内を歩いていると、偶然爽に出くわした。



「よう、澪汰、明けましておめでとさん」



爽も俺に気づくと、いつものように爽やかな笑顔で俺に話しかけてくる。それに手を挙げ応えながら、俺は爽に尋ねた。



「明けましておめでとう、爽。早いな」
「そうか?……ああ、約束より20分早いか、……けどオレ、この駅来たことないからよ。迷って遅れたら悪いと思ってさ」
「ああ、なるほど。確かにここの駅は出口が4つあるからな、わかりづらいかもしれんな」
「そうなんだよ、お前ここは来たことあんの」
「ああ、昔よく使っていた」
「お、ならナビ頼んでいいか」
「任せろ」



そんなこんなで俺たちは待ち合わせ場所に15分前に着いたのだが、もうマモリと門田、伊代は来ていて、俺たちに気づくと手を振った。



「明けましておめでとう、名倉くん!今日は君と一緒に初詣に行けるなんて嬉しいよ!沢谷も、おめでとう」
「明けましておめでとう、名倉、沢谷」
「明けましておめでとう、澪汰くん、沢谷くん」
「ああ、明けましておめでとう。……お前たち、早いな。何分前から待っていた」



俺がそう言うと、伊代が答えた。



「僕はついさっきだよ。けど、守くんや門田くんは、30分前から待ってたって」
「へえ、お前らもここの駅は初めてかよ」



爽が尋ねると、マモリは首を振った。



「いや、俺たちはここの駅が最寄りだからね、勝手はよく知ってる」
「……なのになんでそんな早く来るんだよ」
「決まってるじゃないか、名倉くんを待たせるわけにいかないだろう」
「……」



相変わらずのマモリの言いぐさに、爽は少しため息をつきながら、『お前もそうなのか』と言わんばかりの表情を門田に向ける。するとそれで門田も察したらしく、「俺は誰であろうと人を待たせるのは好かん」と渋い顔をしていた。それを見た伊代は苦笑しつつ、今いる面子を見回した。



「これで五人だよね、……後は」
「石川と関賀だな」



俺がそう言うと、マモリは渋い顔をした。



「全く、……名倉くんは優しすぎる。なぜ関賀に許可を出したんだ。あの男は君に迷惑しかかけていないばかりか、君におかしな真似ばかりしているじゃないか」
「呼ばなくても来るなら、最初から許可しても同じだろう」
「そうそう、さすがレイちゃん、よくわかってる!だから無駄なこと言うのやめなって、まもりん」



俺が答えるのと一緒に、妙に明るい声と共に背後から誰かが被さってくる。そして甘ったるいフレグランスと共に、耳元からまた声が聞こえてきた。



「あけおめー、レイちゃん!やっぱり新年からオイシソウだねー!」
「……意外にまともな時間に来たな」



たまたま時計をみていた俺は感心する。ちょうど時計の針は約束の時間を示していたからだ。すると関賀は笑いながら言った。



「オレ待つのも待たすのも苦手でねー。時間厳守、これとーぜんっしょ」
「こら、関賀!名倉くんから離れろ!」



ぴったり俺からくっついて離れない関賀にマモリが激昂する。そして無言で爽も引き剥がしに協力し、そうやって騒いでいるうち石川がやってきた。



「げ、……なんだよ、お前らもういたのかよ」
「……10分遅刻だな、石川」



時計を見ながら門田が言うと、石川は肩を竦めた。



「ち、……あのエロ風紀くらいは遅刻してくると思ったのに」
「へ、残念だったなぁブスネコ!レイちゃんは遅刻するようなルーズな奴は嫌いだってよー!」
「……!ぼ、僕だって遅刻したかったわけじゃない!ただ、……初めて来た駅だったから道に迷っただけだ!」
「だったら予め早く出りゃいーだろー、そこの親友くんみてぇに。……全く、自己中心ネコはこれだから」
「なんだとー!」



関賀の挑発に、石川は簡単にのって怒り出してしまう。……全く、新年からこいつらは変わらないものだ。俺はため息をつくと傍らにいた爽に声をかけた。



「……じゃあ、そろそろ行くか」
「……そうだな」
「そうだね、あの二人は放っておこう。案外仲がよさそうだし」
「「……誰がだ!」」



俺が促すと爽が相づちをうち、そしてマモリの言葉に石川と関賀が噛みつく。そんな二人を門田と伊代がため息と苦笑まじりに見守り、……こうしていつものように、俺たちの新年は始まったのだった。


・END・


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