王道くんになりたい!・番外編

□あけおめ!名倉2016
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俺が初詣から帰ってくると、俺にも年賀状が来ていたらしく、何枚かが俺の部屋にも置かれていた。



俺に年賀状。……誰かと思って見てみれば、それはいつもの面子からだった。



まずはマモリ。非常にあいつらしい几帳面できれいな文字は実にらしさが滲み出ている。去年の俺との一年を振り返り、これからの一年の抱負がびっしりと書き込まれていたが、読むのが全く苦ではなく、まるで定規で計ったような等間隔さは常人には真似ができないだろう。そこは素直に感動した。



次は伊代。あいつらしいほのぼのとしたイラストはどうやら手書きであるらしい。まるで絵が描けない俺は、そこは素直に感動した。



その次は石川。なぜか自画撮りの写真年賀で、アイドルのブロマイドのようなカメラ目線は俺には到底真似できない。その姿勢は、真似はしたくないが素直に感動した。



そして次は門田。画面いっぱいに筆で書かれたらしい『賀正』『申』の文字は勢いがありなかなか味がある。毛筆など小学校以来握ったことがない俺は、そこは素直に感動した。



「……あとは、」



残りの年賀状を見てみると、シュウタ、善人先輩と続き、そして最後の一枚が。



「……?」



最後の一枚。それは白紙の葉書だった。文もなにもない、差出人も不明。だが、確かに宛先は俺になっている。見覚えがない、どこか硬質な字体を見つつ、俺は首をかしげた。



……印刷忘れか?



俺はそう思って手に取ってみる。が、明らかに意図的に白紙としか思えない。宛名は自筆、しかもそれは官製葉書ではなく、普通の葉書に切手が貼られていたからだ。そこまでして内容を忘れる、ということがあるだろうか。



俺は葉書を眺める。と、ふとその何も書かれていないそれが、久しく会わないあの男からのものであるような気がなんとなくして、改めて俺はそれをしげしげと眺める。



「………」



当然、なにも書かれていないそれに答えはない。が、目をそらすこともなぜかできずに俺が葉書を眺めていると、スマホから、着信を知らせる音が聞こえてきた。



「……ん?」



確認してみると、それは爽からのメールで、どうやら地元で年越しパーティーをして盛り上がり、今やっと起きてこれを送ってきたらしい。そのまめまめしさに、俺は素直に感動した。



「……さて」



来た年賀状の枚数を確認し、俺は立ち上がる。



「……葉書、買ってくるか」



まさか、年賀状が来ると思っていなかった俺は、誰にも年賀状を出していなかった。コンビニならばあるか、と思いながら、俺はまた外へと出かけて行ったのだった。



・END・
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