新宮くんと平良くん・番外編

□2015メリクリ文
1ページ/3ページ


「じゃあ、……メリークリスマス、はっちん!俺はっちんとクリスマスを祝えてサイコーな気分だよ!……大好き、はっちん!」
「し、……新宮、」



いつものように、アホの光希が平良に愛を告白し、それに照れまくる平良、という構図から、我ら会計親衛隊のパーティーは始まる。……そして、



「いい加減うぜぇんだよ新宮!てめえのその主張は聞いててムカつくんだ馬鹿野郎!」
「なにぃー!オノちゃん、ありのままの事実を発表して何が悪いんだ!俺ははっちんが大好きなんだよ!」
「し、新宮、もう、いいから」
「つか、平良もいい加減慣れろ!毎回新宮に好き好き言われるくらいで照れるな!嫌なら嫌ってはっきり言え!」
「!い、嫌、なんて、…そ、そんなことは」
「!はっちん、嫌だった?ごめんねはっちん、でも俺、本当にはっちんが好きなんだよ……ああ!また言ってしまった!」



ギャーギャー、と、まるで酒を飲んでるように、光希と平良に隊員たちが絡むのもいつもの事。……僕以外の隊員はノンケな連中の集まりだから、新宮が誰とくっつこうがあまり関係ないらしい。むしろ、平良の善良さが逆に隊員たちの不安をかきたてるらしく、『流されて道を踏みはずさせないようにしないと』という、逆の発想になっているらしい。



僕はというと、……正直、光希にはとっとと平良をモノにしてほしい。なんのかのと言いながら、光希が好きだった僕だ。未練がまったくないと言えば嘘になるし、平良が妬ましい、と思ってしまう部分もある。



だが、平良はやはりいいやつで。光希はもう、平良以外に心を動かさない、――いや、平良以外に心を動かす光希を見たくない、とすら思っている自分もいる。それに平良も、光希が本当に好きなのはわかっている。アホ光希は気づいていないようだが。



―――だから、今日。クリスマスにかこつけ、僕は平良に『プレゼント』をしようと思う。



あの二人に、幸せになってもらうため。……そして、



――今度こそ、この恋を、過去のものにするために。



隊員たちとギャーギャー騒ぐ光希たちを、ハラハラしながら見ている平良の肩を俺は叩いた。



「平良、楽しんでる?」
「金澤。……ああ、とても楽しい。……お前たちにはいつもよくしてもらって、本当にありがたいと思ってる」



優しく、平良は笑う。背はでかい、浅黒で少し強面のくせに、笑うと少し可愛い気がするのは、僕も光希のが伝染したのだろうか。そう思いながら、僕は平良に小さい包みを見せた。



「じゃ、僕からお前にプレゼント」
「俺に?」
「ああ。……たぶん、このパーティーが終わったら、光希はお前を誘ってくるぞ。あいつ、お前にプレゼントするんだとか言って、色々物色してたからな。きっと人がいないとこで、サプライズで渡すつもりだと思う」
「…!」



その途端、平良の顔が赤くなる。そしてその後、とても困った顔をした。



「……そ、そうだったか、……だが、俺は、なんにも用意してない……そんな事とは、知らなかったから」
「そりゃ、光希は驚かせるつもりだからお前に言うつもりはなかったろうさ。……だから、これ」



僕は袋から、クリスマスカードとペンを取り出した。



「これにお前の気持ちを書いて、光希に渡してやれ。……きっと、あいつ、アホみたいに喜ぶだろうから」
「え、」
「お前、光希が好きなんだろう?」
「……」



僕の言葉を聞いた途端、平良は顔をまた赤くしたが、しかしはっきり僕の顔を見ながら頷いた。



「ああ」
「なら、その気持ちを書いてやれよ。そしたらきっと、」



―――どうするんだろうな、光希は。



それを楽しく思い浮かべながら、僕は包みを平良に押し付けた。



「………じゃ、……メリークリスマス。」



両想いのくせにはっきりしない、憎らしい、……しかし、愛すべきカップルのために、僕はほんの少しの感傷を振りきりながら、平良に向かって微笑を向けた。




・END・
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ