新宮くんと平良くん・番外編

□2015ハロウィン文
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ハロウィンその1


今日はハロウィン。ガキどもがコスプレして菓子をたかる日だ。そして、幌帆高の生徒会に入ってから、俺はこの日が非常に面倒くさくて嫌いだった。



なぜなら、幌帆高生徒会は、この日は付属の幼稚園でボランティアとしてコスプレして菓子をふるまう。だから、この日は役員はガキの相手をせねばならない。正直ガキは嫌いだ、うるさいし、まとわりつくし、アホだし。ゆえに一年目は俺は憂鬱な気分のままハロウィンを終わらせた。



しかし今年は違う。今年は、俺が無理をいって、はっちんもこのイベントに参加することになったのだ。



……はっちんがコスプレ!これを見逃す手はない。はっちんは何をしても、どんな時も可愛いが、コスなんかしたらどんなに可愛いだろう。生徒会の連中がもってきた衣装は確か、魔女とか狼男とかそんな感じだったが、どれを着ても新たなはっちんが見れるからドキドキだ。



「あ、おい、新宮。お前、着替えなくていいのかよ」



俺の親衛隊の一人であるオノちゃんが俺に声をかけてくる。俺はまだ着替えていない。というか、正直着替える必要もなかったからだが。オノちゃんの言葉に、俺は笑って言った。



「俺はヘーキ。それよりさぁ、はっちんのコスってできたの?」
「あ、それは、まあ」
「わ!見たい!見たい!はっちんのコスさぁ、誰も教えてくれなかったからさぁ!わぁ、きっとスゴく可愛いんだろうなぁ!」
「あー、……それは、」



ごにょごにょ、とオノちゃんは口ごもる。その態度に不審を感じ、俺はオノちゃんを問い詰めた。



「なんだよー、もったいぶるなよ。……はっちん、近くにいるの?俺、はっちんが見たいよ」
「………」



オノちゃんはため息をついた。



「……見て、怒るなよ」
「なんだよー怒るって。俺がはっちん見て怒るわけないじゃん」



俺がそう言うと、オノちゃんはため息をついた後、「たいらー」と、はっちんを呼んだ。……すると。



ぬ、と現れたのは、……真っ白に化粧した顔。額と頬に大きいキズ、そして釘みたいなかざりものをコメカミにつけた、ぼろい服の男。いわゆる『人造人間』コスをした、はっちんがもじもじしながら入ってきた。



「………」
「……あちゃー……」
「………」



その姿に俺は一瞬目を丸くし、オノちゃんは『しくった』という顔をする。はっちんは恥ずかしいのか、少し顔を伏せていたが俺を上目使いに見上げてきた。



「……新宮、」
「お、おい新宮、これはな」



オノちゃんが俺をとりなそうとはっちんの前に立つ。しかしそれを押し退け、俺ははっちんを抱きしめた。



「わー!はっちんたら可愛いー!」
「………んな、バカな!」
「お、おい、新宮!」



オノちゃんはなんか顎が外れるくらい口をあんぐり開け、はっちんはやっぱりジタバタしている。それがやはり可愛いすぎて俺は叫ぶ。



「もうはっちんたら!そんなかっこして恥ずかしがっちゃったりして可愛い!そんでもって俺を上目使いに見ちゃったりして可愛いすぎー!」
「な、」
「やっぱはっちんは可愛いねー!今のも可愛いけど、ねー、やっぱ花嫁コスしてよ!俺が昨日あげたやつ!」
「……っ!」
「……新宮、お前そんなもんまで……」



俺の言葉に、はっちんが耳を真っ赤にし、オノちゃんは俺をあわれみの目で見る。しかし俺はめげない。



「ねー、花嫁ー花嫁ー!俺だけの花嫁になってよはっちーん!」
「あ、……う、」



はっちんは弱りきりなんだかオドオドしている。フランケンが恥じらうとこんなに可愛いとは思わなかった。よし、もうひとおし、……と言ったところで、背後から殴られた。



「はーいもうじかんですからねー、とっとときがえやがれよ、ばかいけいー」
「ちょ、オノちゃん、その棒読みやめてよーきしょいー」
「きしょいのはお前だ!……もうすぐ時間だろが、とっとと着替えろ!」
「へーい」



仕方なく、俺ははっちんから離れた。



……しょーがない。あれ、着るか。



かなり気は進まなかったが、俺にあてがわれた衣装を着るべく、俺は更衣室へと足を運んだ。



その2に続く
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