戯言×復活

□少女、帰ってきた日常を噛み締める。
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ピンポーン




最近、習慣になってしまった行為。




呼び鈴を鳴らしたあと、玄関を開ける。




「あら?おはよう莉亜ちゃん、今日は少し遅かったのね?」




「おはようございます。奈々さん。昨日、準備してなかったので少しおくれました。」




「ふふふっ確か親戚の方が来られたのよね?」




「はい。」




「莉亜ちゃん!おはよう!」




大きな声と共に出てきたのは。




キラッキラな笑顔した沢田君だった。




「…っ!」




いかんよ、沢田君。




今の僕にその笑顔は…。





「もう、綱吉ったら昨日莉亜ちゃんと帰れなかったって寂しがっていたのよ?」




「あっ!お母さん!言わないでよ!」




沢田君が照れた様子で、僕に向き合って言う。




「えへへ。今日は一緒に帰れるよね?」




もうそれは昨日までの非日常とは違って。




「?…莉亜ちゃん?」




ここには血みどろなものもなくて、ただ平和で。





「…ひっ」




「どうしたの?なんか変だよ?」




本当なら僕にはない空間だった筈なのに。




「……うっ…うわあああぁん!!」




僕は耐えきれず、沢田君に抱きつく。




「え!どうしたの?!莉亜ちゃん?何があったの?」




「ひっく、うぇぇん。」





「何?!どうしたの?」




何が起こったのかわからないままの沢田君。




いきなりの泣き声に慌てて出てきた奈々さん。




僕はそれに構わずに泣き続けた。





やっぱり非日常は嫌なもので、だからこそ僕は日常を求める。




本来はないものだけど、沢田君がいるからそれを味わうことができる。




「莉亜ちゃん。どうか泣き止んでよ〜。どうしていいかわかんないよ。」




おかしくなった様子の僕に君まで泣きそうになる。いや、 もう泣いてる?




これはきっと好きと言う感情なんだろうね?




気持ちとかよく…わからないけれど。




僕は君が好きだ。
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