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□月が乞う海の音
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 布擦れの音と微かな息遣いが部屋の中に響く。

 明るい部屋の中、両手首を後ろで縛られ、視界を布で覆われたローがコラソンの腕の中で身をくねらせていた。



「あっ…、ぁ、ぅ…」



 背後から大きな身体に抱かれていたローは、もう長い時間コラソンから胸への愛撫を与え続けられていた。

 火照る身体の熱が治まらない。

 それどころか、余計にローの身体に熱を孕ませていく。



「や…っ…コラさ、っん…」



 カリッと爪で胸の先端をコラソンに引っ掻かれ、ローはまたビクリと身体を跳ね上げた。

 剥き出しになったローの細い肩が、コラソンの温かい胸にぶつかる。

 いつものようにお互いに服を脱いだまではよかった。

 その後、一体何を思ったのか、コラソンは前もって準備をしていた布でローの両手首を後ろで縛り、目を覆って視界を遮る。

 そうすることでローの感度が上がるのは、もう長い年月身体を重ね合わせてきたコラソンはよく知っていた。



「あ、は、…ぁっ」



 突起をグリグリと押し潰すように指で撫でてやると、コラソンの腕の中でローの身体が震え上がる。

 掠れたローの声は甘く部屋に響き、コラソンの耳を楽しませた。



「やぁ…、も、触っ…て…っ…」



「触ってるだろ?」



 ホラと、そう言ってコラソンがローの両方の胸の飾りを摘まみ上げた。



「ん、ぁあ…っ」



 長い時間をかけて弄られた胸は普段より赤く染まって膨れ、よりコラソンから与えられる刺激をローに伝えている。

 その刺激に、ローの中心部分から更に透明の滴が溢れて伝った。

 本当はローが何処に触って欲しいかだなんて、そんなことはコラソンにも解っている。

 敢えてそれをせずに胸にしか触れていないコラソンは、この行為が更にローの感度を上げることを知っているから。



「このままいけよ、ロー」



「ぁ、あ…、無理…っ…」



 背中と胸にしかコラソンの温もりを感じられないもどかしさ。

 張り詰めているであろう自身に触れて熱を解放させてもらいたいが、今はコラソンによって両手の自由を奪われているので、ローはどうすることも出来ずに、シーツの上で長い脚を何度も動かしていた。

 ジンジンと疼く甘い胸からの熱はローの腰に響き、無意識の内に腰を揺らしている。

 その様子を見ていたコラソンはクスリと笑い、ローの首筋に柔らかく噛みついた。



「ひ、ぁっ」



 跳ね上がったローの身体の震えが、一段と大きくなっていく。



「ここも、感じるだろ?」



 もう何年も前からそう教えたと、コラソンはローに伝えながら細い首筋に赤い華を咲かせた。

 今となっては、コラソンに何処を触られても、その刺激を感じるような身体になってしまっているロー。

 首筋に触れた唇の感触さえ気持ちがいいと思ってしまう。



「コラさ…んっ、も、いきた…」



「これでいけるだろ? ロー」



 ローの目を覆った布に涙の跡が浮かんだ。

 微弱だったはずの刺激が、大きな渦となってローの身体を支配している。

 熱の捌け口を求めて震える中心部分には触れてもらえないまま、新たに強く与えられた胸への刺激で、ローは腰を跳ね上げた。



「ぁ、ぁあっ! あ、あ、ぁ…」



 一際きつく胸の突起をコラソンに摘まみ上げられて、溜まりに溜まった熱をローは吐き出した。



「ロー。いい子だ」



 よく出来たと、コラソンはそう言いながらローの目隠しを取り除いてやる。



「は…、ぁ、コラさん…」



 覗き込んだローの貌は快楽の熱に蕩けて、目許を赤く染めて涙を滲ませていた。

 ローの身体を反転させて、コラソンは向かい合わせでベッドの上に座る。



「手、解いて…」



 拘束されたままの両手が気になるらしく、ローは不安げにコラソンを見上げながら解放を願う言葉を口にした。



「後でな」



 けれどもコラソンから伝えられたのはローの望む答えではなかった。

 ローは両手を拘束されたまま、コラソンにゆっくりとベッドに倒されていく。



「触って欲しかったんだよな」



「ぁっ、あ、待って!」



 果てたばかりで敏感になっている自身にコラソンの指が触れ、ローは身を捩って逃げ出そうとした。

 だがそれもコラソンに腰を抱き寄せられて止められ、ローはいいように中心部分を嬲られる。



「ひ、っぁ、あ…」



 ぐちぐちと濡れた音と、耳に着けた乾いた金属音がローの耳に響いた。

 全体的に刺激を与えながらも、コラソンはローの先端部分を指で円を描くように撫で続ける。

 コラソンの動く指の刺激に合わせてローの腰が何度も跳ね、逃げるように身を捩った所為でシーツが乱れていく。



「や…、駄目…だ…、それ…はっ…」



 ボロボロと涙を流したローが、コラソンに懇願して動きを止めようとした。



「大丈夫だ。ちゃんといけるだろ?」



 これから先、その身体に何が起こるのか、何度かそれをローにさせたコラソンは微笑みながらその額に軽くキスを落としてやる。



「あ、や、…やだっ、離し…て、ぁっ、ああ」



 次第に痙攣しはじめてきたローの頬をコラソンは優しく撫で、卑猥な音を立て続ける指の動きをきつく、そして早めていった。

 再び勃ち上がったローの先端からぷつぷつと透明な液が溢れ出し、コラソンは何度もそれを指で掬って周囲に塗りつけていく。



「ロー。出せよ」



 何かに耐えるようにぎゅっと閉じられたローの目。

 コラソンの囁きに、ローはイヤイヤというように頭を振った。



「ひぁっ、や…、出る…っ、や、だ…っ…」



 限界が近いらしいローが何度も身体を痙攣させている。

 追い上げるようにコラソンがローの先端を指で抉ると、ビクリと細い腰が跳ね上がった。



「あぁっ、ぁ、んあ、あー…」



 痛いほどの刺激に、限界を迎えたローの自身から一気に透明な液体が噴き出す。



「やぁっ、止まんな…っぁあ…」



「可愛い」



 サラサラとした液が大量に出され、瞬く間にシーツに染みを残していった。

 涙を流しながら潮を噴き出し、ローは目眩がするほど激しい余韻に全身を甘く痺れさせている。

 濡れた指を一度舐め、コラソンはローの両手の拘束を解いて、今度こそ自由にしてやった。

 とはいえ、もうローが動けないほど身体をグッタリとさせているのは、コラソンは重々承知だった。

 翌日も動けないであろうことは解りきっている。

 ローに何度もキスを落として、コラソンは長い指を力の抜けきった秘孔へと埋めていった。



「ぁ、は…ぁぁ、コラさん…」



 脚を開かれたローがコラソンに手を伸ばそうとするが、力の入らない身体ではそれが叶わなかった。

 特に下肢には全く力が入らず、ローはただコラソンを見つめていた。



「んあぁ…っ、ぁ、ぁ」



 増やされたコラソンの指がローの中にある敏感な部分を指で撫でてくる。

 カタカタと震えるローを見ながら、コラソンは自由な方の手で再び中心部分に触れた。



「あ、も…っ…」



 震え続けているローの身体に何が起こっているのか解っていて、コラソンはその先を促すように指を滑らせた。



「ロー、今日は何回いけるんだろうな?」



 果てる回数は少なくても、この状態になっているローは何度でもいき続けることが出来る。

 楽しそうに笑うコラソンに、ローの目から新たな涙が流れた。

 受け入れるように慣らされたローの秘孔が、コラソンの猛った熱を飲み込んでいく。



「んく…っ、ん、ぁ、あ、ああ…」



 凄まじい圧迫感と快感に、ローの身体が戦慄いた。



「気持ちいいか?」



 コラソンの甘い囁きに、ローは何度も頷いてみせた。

 抵抗などもう無意味で、その気力さえコラソンに奪われたローは、何度も身体を支配する絶頂に甘く濡れた声を部屋に響かせる。

 生まれて初めて抱かれた時はただショックで、痛みや快感など解らなかったし、もう覚えてもいない。

 あれからもう10年以上、元々が快感に弱かったらしいローの身体は、コラソンに色々と教え込まれることによって、更に敏感な身体になってしまった。

 普通になど戻れないし、別にローがコラソンを拒絶する理由もない。



「んぁぁっ、コラさ…んっ…」



 抱き上げられたことによって、より結合が深くなる。

 何とか伸ばした手でコラソンに抱きつくと、ローは弛緩しきった身体を懐かせた。



「ロー。一緒にいこうな」



 敏感な箇所ばかりを貫かれ、触れられて、ローの身体は震えが止まらない。



「ぁっ、ぁぁっ、あ…」



 繰り返し訪れている快感の波が、更に強くなってローを襲う。

 ふるりとローの中心部分が震えたのを感じたコラソンは、同じように熱を吐き出させようと絶妙な指の動きで追いつめていった。



「ひ、っん、あ、ああ、あっ」



「ロー…っ…」



 熱く掠れたコラソンの囁くように名前を呼ぶ声が、ローには堪らなく心地好い。

 促されるまま大きな手のひらに欲を吐き出したローは、同じように吐き出されたコラソンの白濁した熱を受け取った。

 何もかもが熱く、そして狂いそうなほど気持ちがよかった。

 コラソンとローはお互いを抱きしめながら、唇を合わせ、名前を呼び合った後で静かに目を閉じた。















END
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