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□冬の風物詩
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甘やかしているつもりはないし、過保護にしているつもりもない。
放任しつつも大事に育てていたローは、何故かおれに対してだけワガママに育っていた。
「みかん、剥いてくれ。スジは綺麗に取れよ」
おれの金でつい最近買ったというコタツは、ローを更にワガママにさせているように思える。
コタツを相当気に入ったらしいローはコタツから出ない代わりに、おれにアレコレ世話を焼かせている。
甘えているのだと思えば可愛らしいが、如何せん甘えとワガママは表裏一体だ。
「食うのはお前だろう? それくらい自分でやれ」
みかんが食いたいというから買って来てやったら、コタツから出ないローは早速剥いてくれときたもんだ。
「ドフィが剥くから美味いんだ」
だから早くと急かすローに、悪い気のしないおれは、ある意味末期の恋愛症状だろう。
「じゃあせめて、おれもコタツに入れろ」
正方形のコタツは、ローの隣に入り込むには小さい。
かといって側面や前方に入るにも、ローがすっぽりと脚を入れているコタツに、おれの入る場所などなかった。
無理に脚を入れようとしても、精々膝までしか入らないほど、おれにとってコタツは小さいものだ。
腹立ちまぎれにローの太腿に足を乗せてやれば、冷たいと言ってローが脚を上げた所為で、おれの足がコタツに当たって少しの痛みを感じる。
「ドフィ、みかん……」
「お前なァ……」
じゃあせめて、これくらいは赦せと、ローの背中を抱くようにしてコタツに脚を入れてやった。
「ロー……、お前、子供体温だよな」
「うるせェ。温まってるからだろ」
ローを包み込みながらみかんを剥いていくと、スジを取り終えると同時にみかんを奪われる。
「甘い……」
ぽつりと呟いたローは、素直に可愛い。
「ドフィ、早く……」
ワガママさえも甘えでしかなく、丁寧にスジを取ってやったおれは、どうせだからとローの口にみかんを運んで、餌付けの楽しみを味わった。
みっつもみかんを食べ終えれば、流石に満足したらしいローが大きな欠伸をする。
「眠いのか?」
「ん……眠い……」
おれの腕の中で舟を漕ぐローは、既に半分夢の世界に足を踏み入れているようだ。
両手をローの腹で交差させていたおれは、その手を移動させて胸に触れる。
「んうぅ……」
反応が鈍いのは、眠気が勝っているからだろう。
いつもであれば何かしらの抵抗や反撃を受けているはずなのに、今日に限って無抵抗だ。
「ロー……。みかん、好きか?」
トレーナーに手を突っ込んで直接ローの肌に触れて、胸を揉むように撫でてやる。
「ん、好き……」
間の伸びた返事をするローの声はやや掠れていて、もう限界とばかりに、ローはコタツに突っ伏して腕を枕にした。
「おれのことは好きか?」
「うん……、好き……」
くぐもった声がぽつりと答える。
気を良くしたおれは、ローの胸を弄りながらジーンズのジッパーを下ろしていき、股間に忍ばせた手で柔らかな形をなぞってやった。
「ん……、ふぅ……」
徐々に硬さをもって勃ちはじめていくにつれて、ローの声が甘いものに変わっていく。
「ロー、抱くぞ?」
「ん、っ、うん……」
覚醒する気配を見せないローは、現状を理解しているのかどうか。
それすらも解らないが、拒絶されるよりはいいと勝手に解釈をして、腰の位置をずらして後ろに下がったおれは、コタツに入っているローの腹を抱いて腰を持ち上げてやった。
「あ……、ふぅ……っ、な、なに……?」
外気に晒された下肢に違和感を覚えたらしいローが、微睡んだ目でおれを振り返る。
「気持ちいいの、好きだろう? もっと気持ちよくさせてやるから、黙って感じてろ」
「んっ、あ、あ、な……っ、あ、ああぁっ!?」
軽く慣らした蕾はもう綻んでいて、おれが昂りを打ち込んでもローは痛がる素振りを見せない。
それどころか腰を遣う度に気持ちよさげに喘ぎはじめたローに、更に腰を高い位置に持ち上げたおれは、ローの上半身をコタツに押しつける形で抽送を速めた。
「こっちも、可愛がってやる」
「あっ、ドフィ……ッ!!」
トロトロと蜜を流す男性器に指を絡めて扱いてやると、身震いをしたローが一気に絶頂を迎えて、天板に白濁を迸らせる。
ラストスパートをかけるように激しい腰遣いでローを揺さぶれば、ギシギシと音を立てたコタツが大きく揺れて、おれの絶頂と共にバキリと折れた。
「ドフィ……」
その後、すっかり目を覚ましたローに、今すぐ大きくて丈夫なコタツを買えと言われたのは、言うまでもない。