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□それはダメだロー
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 数日後、ドフラミンゴは以前から狙っていたオペオペの実を手に入れて、上機嫌でローの部屋に入った。

 部屋の中では楽しそうに会話をするローとコラソンの二人の姿。

 だが、不思議と音が聞こえない為、二人が何をそんなに楽しそうに笑い合っているのかが理解不能だったが、二人仲良くというのが気に入らない。

 コラソンの背中を蹴ってローとの間に入ったドフラミンゴは、驚いた顔をする彼の目の前にオペオペの実を差し出した。



「フッフッフッ、土産だ」



「なに、これ?」



 初めて目にする不気味な土産に、ローは困惑しながらドフラミンゴを見つめる。

 今まで彼から土産と称して贈られるプレゼントは、ローの好きな本だったり、モコモコの可愛らしいぬいぐるみだったのに、今日はまたどうしてこんな不気味な土産なのだろう。



「オペオペの実だ」



「オペオペ…?」



「コレを食えば能力者になれる。この実の能力を手に入れれば…ロー…、お前の苦手な血を見ずに戦うことも可能だ」



「血を…見ずに…?」



「そうだ」



 ローは手渡された不気味な実を見つめ、次に元の位置に戻ってきたコラソンを見つめる。

 コクリと、大丈夫だというようにコラソンが頷いた。

 それを見たローは意を決してその実を食べた。



「どうだ?」



 食べ終わった後、ドフラミンゴが感想を聞いてくる。



「…不味い」



「まぁ、美味いもんでもねェのは確かだが。これで能力は使えるはずだ」



 手始めに簡単な二つの能力をローに教える二人。

 ROOMとメス。

 彼がいくつの能力をマスター出来るのかまだ解らないので、取り敢えずこの二つの能力を教えてやった。



「まずはROOMだ。その空間の中にいる奴は、どれだけ斬っても血を出すこともなくバラバラにすることが出来る。ROOMを出した後に取り敢えずコラソンを斬ってみろ」



 用意した新しい刀をローに手渡し、ドフラミンゴはそう告げた。



「え、コラさんにそんなこと出来ないっ!」



「───は?」



[ドフィでためせ]



「うん!」



「え?」



 一瞬の出来事だった。

 ROOMと唱えたローに、呆気に取られて動けなかったドフラミンゴは、彼の新しい刀で胴体を真っ二つに切断された。



「きゃ…っ、スプラッタ!!」



 刀を放り出してコラソンに抱きつくロー。

 血を見ることはなかったので気絶はしなかったが、切断されたドフラミンゴの身体を直視出来ないローはぎゅっとコラソンにしがみついている。



「コラソン…てめェ…。ってか、ロー! コレもダメなのかっ!?」



 能力を使い、自分の身体をくっつけたドフラミンゴが呆れたように言葉を投げた。

 ローといえばまだドフラミンゴを見ず、コラソンに抱きつきながらフルフルと首を横に振っていた。

 怒りと呆れ、どちらともつかない表情でローの身体を抱き上げてコラソンから離したドフラミンゴは、小動物みたいになっていた彼を見る。

 潤んだローの目を見たドフラミンゴは何も言えない。

 今回は気絶しなかっただけ良かったのだと、そう思うことにした。



「ハァ…、まぁいい。次はメスで相手の心臓を───」



「メス!」



「なぁっ!!!? だから何でおれ───」



(クスッ)



「ヒッ!! いゃーぁっ、気持ち悪いっ!!」



 ドクンッ…と、小さな手に奪われた脈打つ大きな心臓が、ビタンッと音を立てて床に叩きつけられる。

 同時に胸に走る衝撃にドフラミンゴはローを手放した。



「ぐっ…、おれの心臓…」



 逃げ出したローはまたしてもコラソンにしがみつき、初めて手に触れた脈打つ心臓の感触が気持ち悪かったのか、小さな手をプルプルと震わせていた。

 しがみつくローを宥めるように抱き上げて、コラソンはその感触を消すように手を合わせて優しく握ってやる。



「コラさぁん…」



 頼りなさげに見つめるローに、コラソンは額と額を合わせて柔らかく微笑んでやった。

 距離が徐々に近くなる。



「そこまでだっ!」



 心臓を元に戻したドフラミンゴが、このままでは唇が触れ合ってしまうという距離にまで近づいた二人の顔を引き離した。



「あ…」



(チッ…)



「残念そうな顔をするな、ローっ! コラソン、今舌打ちしたな!?」



 ドフラミンゴの息が上がっているのは、叩きつけられた心臓が原因だけではないだろう。

 危険だと、この二人の空間は危険だと本能が告げていた。

 だいたい、ローは部下であって自分のものであるはずなのだ。

 それが何故、いつどのようになって、気がつけばコラソンに懐いているのだろう。

 面白くない。



「ロー、こればかりは慣れろ。もう一度───って、おれじゃないっ! 今度はコラソンで慣れるんだ」



 行動は早いロー。

 ドフラミンゴの言葉を最後まで聞く前に手を出そうとしたローに、慌てて方向転換をさせてコラソンに向き合わせる。

 ローの肩がピクリと跳ね上がる。

 ニヤリとコラソンを見て笑うドフラミンゴ。

 コラソンはローを見つめて優しく微笑み、床に膝をついて彼に向かって両手を広げてやった。



(おいで、ロー)



「コラ…さん───っ!」



 小さくメスという声が響く。

 手の中で脈打つ温かいもの、同時に身体を包み込む優しい温もりを感じて目を閉じるロー。

 不思議と怖いとか気持ち悪いとかいう気持ちはなく、ふわりと頭を撫でられる大きな手に懐くように小さな身体を擦り寄せたのだった。










「何故だ、どうしてなんだ!? ローっ!」



 部屋の片隅で蹲って豪華なカーペットに「の」の字を書いていじけるドフラミンゴ。

 それを横目でチラリと見た後、ローは心臓を片手にコラソンにニッコリと微笑んだのだった。



「コラさんの心臓って温かいね!」



(クスッ)















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