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□KISS AND KILL
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 触れ合う唇は、いつの間にか熱をもったように熱くなっていた。

 薄暗い部屋の中で毎晩のように繰り返される行為。

 人目を忍んで軽く触れ合わせるだけのキスも何度もしてきたが、やはりこうやって誰にも邪魔されずにキスをする方が安心して集中出来る。

 ベッドの上で座りながら抱き合い、何度も触れ合う唇。

 ペロリと舐めてやると、微かな笑い声と共に軽く下唇を噛まれた。



「ふふっ、いてェよコラさん」



「お前が先に仕掛けたんだろう、ロー」



 クスクスと笑いながら額を合わせると、どちらも同じように熱かった。



「な、もっと…」



 ローがコラソンの腕を掴むと、服がくしゃりと皺を作る。

 見上げるローの頭を引き寄せ、コラソンは啄むようなキスを送る。

 何度も、何度も、ただ触れ合うだけのキス。

 くすぐったいような刺激に笑みが溢れる。

 角度を変えては離れ、時に唇を舌で舐められたかと思うと軽く吸いつかれ、ローは我慢出来ないというようにコラソンの首に腕を回した。

 密着する身体が服越しでも熱い。

 唇を舐めるタイミングを見計らって舌を出すと、ローの舌とコラソンの舌がほんの少しだけ触れて離れた。



「ロー…」



 濡れた感触にコラソンがローを見つめると、ニヤリと笑った彼が舌なめずりをしていた。

 婀娜のあるローの動きにコラソンの鼓動が早くなる。



「コラさん。ほら、もっと」



 今度は逃がさないと、ローが舌を出して笑う。

 挑発的な笑みにコラソンは唇を近づけてやると、ローの舌を柔らかく唇で挟み込んだ。

 ペロペロと舐めながら隙あらば口内に侵入してこようとしてくるローの舌に、コラソンは先ほどと同じように軽く噛みついてやった。



「…っ…。コラさん、焦らすなよ」



 首に回した腕に力を入れて顔を引き寄せるローに、コラソンはクスリと笑みを浮かべる。



「まぁ、そう焦るな。ロー」



 まだ時間はたっぷりあると、泣き出しそうなまでに綺麗な微笑を浮かべたコラソンにローの息が止まる。

 鼓動が早くなっていくのが自分でも感じられた。



「待てねェ…」



 大人の余裕なんか自分にはない。

 いつだってコラソンの前では子供のようになってしまう。

 ローはそう言うと、噛みつくようなキスをコラソンにした。

 触れ合う唇の間から舌を伸ばすと、今度は簡単にコラソンの口内に入ることが出来た。

 夢中になって舌を絡めようとすると、宥めるようにコラソンがローの頭をポンポンと撫でてくる。

 その後、頭に置かれていたコラソンの手はローを引き寄せ、キスを深いものに変えてやった。

 口内にあるローの舌を一度舐めて、絡め取るようにして更に奥へと導いてやる。

 ピクリと跳ね上がった舌を逃すまいと吸いついてやると、ローの身体が少しだけ震えた。



「は…っ…、ぁ…っ」



 簡単に息を上げるローに、やはりコラソンは変わらぬ笑みを浮かべていて、それが何だか悔しくて一度息継ぎに離れた唇を近づけて噛みついてやる。

 柔らかなコラソンの唇の感触が歯に心地好い。

 甘噛みを続けていると、コラソンの拳がローに落とされた。



「いてェだろ?」



「おれだって痛い…」



 殴られる瞬間に唇を離したからコラソンにきつく噛みつくことはなかったが、軽く殴られた頭は指の節が当たって少し痛かった。



「お前は相変わらず下手だな」



 クスクスと笑いながら濡れた唇を舌で舐め取る仕草に、ローはドキリとしながらムッと唇を尖らせる。

 幼い頃からコラソンをずっと追いかけていたローは、他のキスなど知らない。

 別にコラソンの過去の相手に嫉妬する訳ではないが、それでも何か面白くなくてローは自分よりも大きな身体に抱きついた。



「クスッ。安心しろ、ロー。お前と出逢ってからは、お前しか見ていない」



 拗ねた大きな子供をあやすように、幾分か下にあるローの頭にもキスを落としていくコラソン。

 少し癖のある髪を手に取ってキスをしていくと、ムッとしたようなローがコラソンを見上げた。



「クソガキ」



「うるせェ…」



 どうせおれはアンタに敵わないと、そう漏らして完全に拗ねているローに、コラソンは楽しそうに笑いながらキスの続きをしていく。

 誘うように薄く開いたローの口内に舌を滑り込ませ、熱く濡れた舌を何度も絡ませる。

 ぴちゃりとした水音が部屋に響く頃には、すっかり蕩けきった表情をしたローが甘い吐息を漏らしていた。



「なんか…、音、恥ずかし…」



 こんなことで顔を赤く染めるローに、可愛らしい反応にコラソンは彼の頭を引き寄せて耳許に唇を寄せた。



「音ならいくらでも消してやるが?」



 容易いことだと、コラソンがローの耳許で囁き、仄かに染まった耳にキスをして舌を這わせていく。



「んっ…、それは、別にいい…っ」



 声まで聞こえなくなるのは嫌だ。

 耳を舐められる感触にローが身体を竦ませる。

 濡れた音が直接耳に響く刺激に身体が煽られてしまう。

 激しくなる動悸に、ローは自身を落ち着かせるように深く息を吐いた。



「なんか…、おれ…キスだけで殺されそうかも…」



 小さく呟いたローの声は、傍にいるコラソンに届いている。

 コラソンはローの耳にもう一度キスを落とした後、そのまま唇を細い首筋へと移動させていった。



「ぁっ、コラさん…」



 痺れるような甘い刺激に思わず息を漏らすロー。

 触れるだけだった首筋を舌で舐めた後、軽く歯を立てて吸いついてやると、薄い肌に紅い華が綺麗に咲いた。



「ロー、どうする?」



 所有印を確かめるように指で撫でながら、ローと目を合わせるコラソン。

 熱に濡れはじめたローの目がコラソンを捉える。



「コラさん…。このまま堕ちようよ…」



 もっと色んな場所に触れて欲しいと、ローはコラソンの目の前で服を脱いで、ベッドの下に投げ捨てる。

 それを見届けたコラソンは、赤く染まった唇にキスをしながらローをそっとベッドに押し倒していった。















END

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