【更新中】〈練習帳シリーズ〉

□  〈幕間〉『開いたゴマの行方。』2
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【銀河目線/つづき】

 ひなこちゃんの言うてることは、わけが分からんけど、とりあえず無事は無事みたいし、オレにできることがあったら言うてな?て、言うて、電話を切る。
 ちょうどイタさんも、ドリさんと話し終わったとこみたいで、ちょっと参ったカオしてはる。
「──そっち、なんやて?」
「うん。よォ分からへんねん。ちょっと泣いてるみたいやったし。でも、とりあえず、ドリさんの心配してるよォなことはあらへんて。タクシーで帰ってきたんやって」
 そォか、て、イタさんは肯く。
「ドリもな、なんや珍しィとりみだしとって。すまん、とか、そんなコトしか言わへん。なんやろな」
「──ん」
 ドリさんは、ひなこちゃんの気持ちに気づかはったんやろか。それで、断ってしもたんやろか。それで、ひなこちゃんは泣いてるんやろか。
 ……けど、日本一可愛いハタチのグラビアアイドルを、そう簡単にごめんなさいできるもんやろか。それとも。
「なァ、イタさん。ドリさんて、ほんまにオレのこと好きなん?」
「はァ?」
 イタさんの眉毛が、かたっぽだけ上がる。あ、このカオ好きや。
「なんやこんなときに。……好きやとは言うてへんかったで。可愛いとは言うとったけど。──残念やな」
 残念ていうか。
「その、可愛いていうのは、どういう意味やろな。つきあえるもんなら、つきあいたいみたいな、そういうたぐいの?」
 ドリさんが、そういう好みなんやったら、ひなこちゃんがどんなに可愛らしくても、〈ナシ〉や、いうのは、分かる。そういう意味では、オレにとってもひなこちゃんはナシやもんな。
「……そんなん俺に聞いたって知るか。直接聞きィよ」
「“オレのこと好きなん?”て? さすがによォ言わんわ」
「ひなこの心配してたんちゃうんか。なんでお前とドリがどうこういう話になんねんな」
「うん、そうやけど──」
 まったく関係なくもあれへんねんけど。その辺り話し出すと長なるな。
「何があったんかな。どっちに聞くんがええねやろ……」
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