陛下に捧げる三月兎の行進曲 c/w サド侯爵と俺

□§2 第2夜−5 Side鼓
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Side(鼓)
「や……ダメ、ツヅミ……そんな、こと」
 恥ずかしいよ、と、言う声が、だんだん甘くなる。ダメ、って、言うけど、これ、絶対。
(ダメじゃないやつ)
 お尻まわりをペロペロしてた顔をあげると、わ。泣きそうなカオして、超カワイイ。
「気持ちいい?」
「あの……うん、いいみたい、なんだけど……恥ずかしいから、もう、やめて……?」
「何言ってんの。気持ちいいことしないと、出るものも出ないでしょ」
「あ──そうか……でも」
 ほんと恥ずかしがりやさんだ。もじもじしてるとこ見てると、なんかキュンとなる。
「もっとしてあげるから。〈陛下〉もがんばって」
「……がんばるって、どうすればいいの……」
 よし、と、陛下の脚を持ち上げて、オレの肩にあげる。オレのしてることが、〈陛下〉からも見えるように。
「ツヅミ……こんな、格好……」
 たちまちまっ赤になるのが可愛くて。わざと舌、伸ばして、〈陛下〉に見せてから。ちゅっと、〈陛下〉の秘密のところに口をつける。周りを舐めると、わ、すごい、可愛い声を。
(もっと聞きたい、な)
 舌を尖らせて、中に入れてみる。〈陛下〉の全身が、びくん、と、揺れる。続けてあげると、すすり泣きみたいに、切ない声になって。
(相当、よさそう、なんだけど……)
 偶然をよそおって、指の甲で〈陛下〉のアレに触れてみる。──まだ、柔らかいけど。
(熱くなってる)
「〈陛下〉。中、感じそうだね?」
 脚、下ろして聞くと、ぶんぶん首を振るけど、これは、否定じゃなくて。
「そんな、こと。言えません……」
「もう、〈陛下〉は、ほんとカワイイな」
 一度ぎゅっとしてから、横に並んで腕の中に抱える。
「感じますって言ってるのとおんなじだよ」
 上目づかいで、意地悪、とか言われて。オレのほうはもうビンビンになっちゃう。知らなかった、オレって男もイケるんだ。
(っていうか……Sッ気あるのかも、オレ)
 陛下の白い手をとって、自分のソレに触れさせる。ほんのちょっと添えられてる程度なのに。すごい、感じちゃう。
「ツヅミ……」
「イメトレ。〈陛下〉のも、こうしたいね?」
 恥ずかしがるかな、と思ったけど。ためらいがちに、握ってくれる。
「あんまり……見たこと、なかった。相手は脱がないことが多いから」
「──けっこう特殊な環境でしてたんだね」
「そうなのかな。触られたり、口に入れられたり、変な道具、つけられたり、そういうの」
 恥じらってるわりには、さらっときわどいこと言っちゃってるよ〈陛下〉……。
「──そういうの、すごくヤだったんだけど。普通は、気持ち、いいんだよね?」
 普通は、とか、言うのが。かわいそうで。
「相手にもよるよ。……オレは、〈陛下〉がさわってくれて、すごく、気持ちいい」
「──ほんと?」
 うん、と肯くと。ちょっとためらってから、手を、動かしてくれる。なんか、オレ……
(すごく、嬉しい)
「ツヅミ。私は、夜のこと……自分からしたことがなくて。……もし、嫌でなかったら」
 試して、みてもいい?と、聞かれて。ドキドキ、する。
「ほんとは、〈陛下〉を気持ちよくしないといけないんだけど。……ちょっとだけね?」
 にこっと。金色の笑顔を見せてくれて。うわ。イキナリ、咥えて、くれちゃうの……?
「すげ……大胆、だね、〈陛下〉……」
 心配そうに、違いますか?とか、聞く。
「違わない。すっごい、気持ちいい」
 っていうか、何ていうか、あ、れ……?
(すっごい、上手くない!?)
 素人ばなれしたテクニックなんですけど、と、驚いてから、思い出す。
(そうか、プロにいろいろされて来たから)
 知識は、あるんだよね。わあ、もう……。
「そんな、舌とか、使われたら……オレ、すぐ、イっちゃうよ……?」
 ぴくっと、〈陛下〉の肩が震えるけど。──やめない。と、いうことは。
「もしかして──見たいの?」
 うん、と、肯いて。目だけで、こっち見あげる。咥えてくれてるままだから、なんというか、すっごい、淫らな眺め……
「いいよ。見せてあげる……お手本ね」
 うん、て、また、肯く、〈陛下〉の舌が、すごく器用に、オレの弱いとこばかりを。見つけ出して、攻める。才能、あるよ、絶対。
「あ……もう、イける。から。離して、ね」
 ぱっと、抜くけど。ギリギリだったから、〈陛下〉の胸を、オレの出したのが、汚す。
「ごめん。かかっちゃった」
 〈陛下〉は、不思議そうにそれを眺めていて。ちょっと、指にとってみたり、して。さすがにそんなしげしげ見られると、恥ずかしいから。枕元から布を取って、拭いてあげる。
「……こんな、ふうに、なるんだね……」
「──うん。どう? 気持ち悪い?」
 〈陛下〉は、赤くなって、首を振った。
「すごく、気持ちよさそうで……可愛かった」
 ああもう。カワイイのはそっちだってば!
「そうでしょ?──イってみたく、なった?」
 ものすごく、可愛らしい、動揺の表情のあと。〈陛下〉は、こくんと、一つ肯いた。
「ああもう、ほんとカワイイ」
 ぎゅぅう、っと、抱きしめて、そのまま、バックに指を伸ばす。
「たぶん、〈陛下〉、こっちのが感じるんだと思う。中は、触られたこと、ないでしょ?」
「うん──だけど……」
「恥ずかしい?」
「……うん……」
「乱暴には、しないし。どうしてもイヤだったら、やめるから。少しだけ、試してみよう?」
 金色のまつげの中の、金色の瞳が、オレを見て。うん、と肯く。
「……痛い……?」
 大丈夫、って言うけど。震えてる。緊張のせいか、〈陛下〉の中は、ほんとうにきゅっと、締まって、狭い。イレたら相当気持ちいいだろうな……とか、考えてしまう。
「〈陛下〉……こっち見て」
 金色の、まつげが、震えてる。唇、近づけると、目、閉じてくれる。
(どうしよう、オレ。この人のこと)
「好き……だよ」
 え?って、聞き返したはずみで、唇が開いたから。その隙に、舌を、忍び込ませる。びっくりしたみたいだけど。絡めると、おずおずと、応えてくれる。幸せで、気持ちよくて、苦しくて。助けて、あげたくて。
 指を、そっと動かす。ちょっと口の中、舐めてあげると、ん、って、声がもれる。
(あれ……今の、どっちかな)
 試しに、唇を離す。オレを見る〈陛下〉の顔が上気して、めちゃめちゃ色っぽい。勇気を出して、指の動き、もう少し、激しくする。
「あ……! ツヅミ、それ、ダメ……です」
 この、場合の、〈ダメ〉は。
「イイの? 感じるの?」
 言えません、て、言うかなと、思ったけど。
「……はい。すごく……いい……」
 わ。金色の目に、涙が浮かんでる。可愛くて、愛しくて、頭おかしくなりそう。
「二本にする。辛かったら、言ってね?」
 こくんと、素直に肯かれて。ああ、オレ、また勃ってきた。淫乱か。
「ぅ、あ……あ……んんっ……」
 しがみついてくる〈陛下〉に、耳もとで喘がれて。ぞくぞくする。すごい、いい声。思わず、空いてるほうの手を伸ばして、前のほうをつかむ。──あ。
「……わかる? 大っきく、なってきたよ?」
 んんん、って、相づちなのか気持ちいいのかわからない声が返ってくる。そのまま、前と後ろ、いっぺんに可愛がってあげる。けど。
(これだけじゃ……イケないのかも)
 後ろのほうが感じるみたいだから、一生懸命、いろいろしてみる。気持ち良さそうなんだけど、なんとなく、切なそうな、ものたりない、ような、声に。聞こえる。もっと、よくしてあげるには──どうすれば?
「〈陛下〉。ここに、オレの、イレちゃダメ?」
 気持ちいいのと、混乱と、半々の目で、〈陛下〉は、オレを見る。怯えてるのと。期待と。
「もっと、よくしてあげたいんだ」
 これは、嘘じゃないけど。なんかオレ、ずるいかも。〈陛下〉のため、みたいに言って。
「──イレたいんだ。〈陛下〉と、繋がりたい」
 怖い、と、〈陛下〉は言った。怖い、けど、
「……私も、そうしてほしい」
 その、瞬間に。オレは、確信した。繋がれば、〈陛下〉をイかせてあげられる。絶対そうする。オレが貴方を、助けてあげる。
「大好きだよ、〈陛下〉」
 自分のに、手を添えて、少しやわらかくなった〈陛下〉の入口に、あてがう。怖くないように、耳元で、何回も、何回も、好きだよ、と伝える。早く入りたくて、気が狂いそう。
「──力、抜いてね……」
 なるべく、乱暴にならないように、でも、やっぱ、キツいから……ぐっと、腰に、力を入れた、瞬間。
「────い、いっ痛……」
 声が出たのは、オレのほうで。ベッドの上を転がって、のたうちまわる。眉間が、灼けるように、熱くて、痛い。手をあてて、押さえると、そこにあるのは。忘れてた。
(──邪眼石……!)

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