【更新中】〈練習帳シリーズ〉

□  〈幕間〉『開いたゴマの行方。』2
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【伊丹目線/イッコ前のつづき】

 ドリの写真眺めてぼんやりしとったら、電話がなってビクッとする。いかんいかん、こんなとこ人に見られたら、俺がドリにお熱やて思われるわ。──お熱て。
 自分の発想に、またちょっとヘコむ。誰かの写真持ち歩く理由て、他になんやろ。
「──もしもし」
 仕事の話やったらあかんから出るけど。今いちばん、お前と話したないんやけどな、俺。
〈伊丹? あのな、ひょっとして心配しとるんやないかと思って〉
 心配いうか。へこたれとったわ。
「ひなこのことか?」
〈うン。あのな、あの子のせぇとちゃうねん。おれが──ええと、いろいろあってんけど、とにかくおれが気ィまわれへんで、ちょっと誤解させてしもたみたいやねんけど……けど、ほんま、ヘンな気ィおこしたわけやなかって、いや、申し訳ないは申し訳ないけど、とにかくそういうつもりとちゃうかってん。ほんまのほんまに〉
 まァ、ドリのことやから、ほんまやろけど。そんなん俺に言うてどないすんねんな。仕事がらみで心配しとんなら、チトセに言うたほうがええんちゃうか。ていうか。
「ひなこに直接言ぃよ。そのほうがハヤいやろ」
〈お前……〉
 ちょっと絶句したドリが、電話の向こうで気をとりなおして何か言いかけたとき、ドンドンドン、て豪快なノックの音が響いた。
「あ、ちょっと待って。なっちゃんやな、これは」
 となりんちの奥さんは、ピンポンあるのにめったに押さへん。
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