【更新中】〈練習帳シリーズ〉
□ 〈幕間〉『開いたゴマの行方。』2
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【銀河目線/イッコ前のつづき】
「おことばを返すようですけどね、ハルタがあんなシブ好みなんは、チチオヤの影響やと思いますよ、うちは」
ナツの言葉に、オレは茂のカオ思い浮かべて、あいまいにうなずく。たしかにちょっと地味な男やった。
「イタミくんだいすきやねん!て、なんやろね、オトコの趣味もまんま一緒やわ」
あ。
「チチオヤて、オレのことなん?」
「他に誰がおんねんな」
ゲンキンやけど、一気に嬉しなる。
「くちびるオバケの話しに帰ってきたんとちゃうんやろ?」
ああ、そうやった。
「くちびるオバケの話はじめたんはそっちやろ。──まァええわ、ひなこちゃんのことやねんけど。あのな」
戸籍上の女房にする話やないなて、さすがにちょっと赤なってしまう。
「イタさんが言うにはな、ドリさん、オレのこと可愛いて言うてんねんて」
「ん? それは……おサル的にてこと?」
「ちゃうねんて。エッチしてもいい的なアレやて」
「──と、伊丹さんが言うてはる、と」
「うん」
ナツはちょっとむつかしいカオで考えてから、あっさりと、ナイな、て言うた。
「やっぱりそう思う?」
「だってな、言うたらわるいけど、ドリさんてちょっと茂と似たよォなとこあるやんか。んー、似てるとはちゃうか、なんていうか、そういうたぐいの繊細さァと無縁いうか。ざっくりしとるいうか。悪い意味で健全いうか」
なんとなく感じとったこと、分かりやすぅコトバにしてもろた感じで、オレは何回も肯く。
「せやろ? オレのこと、そういう方向で見ることとかなさそォやろ?」
「うん。……ナイな」
「ナイわな」
「ナイ」