09/30の日記

23:45
遺留品。
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パトリシア・コーンウェル著
相原真理子訳
(講談社文庫)

『遺留品』

 ☮ネタバレ注意報☮
  本筋には直接かかわりませんが、
   物語の後半に出て来る内容に触れています。
     
検屍官ケイ・スカーペッタシリーズ。

相変わらずマリーノ刑事が好きで仕方ない。
 3作目では奥さんに逃げられているマリーノさん。
 好きは好きとして、
 逃げる奥さんの気持ちも、やや、わかる。

さておき。

【エリザベスとジル。】

本筋の連続殺人より
やや前に起きている、
〈同一犯では?〉
と思われる殺人事件の被害者たち。

友人同士と思われていたんだけれども、
ケイが調べてゆくうちに
レズビアンのカップルだったことが判明。

5年前に殺されているので、
もちろん本人たちは登場しないんだけれど、

恋人同士だったのを
周囲には隠していて、

特にジルのほうは、

女性同士で愛し合っていることに
葛藤というか罪悪感も抱いていて、
距離をおこうとした形跡もあって、
だけどやっぱり別れられないし……

みたいな最中に、
二人いっぺんに殺されちゃうんだぜ!

──という道のりが
ほのかに描きだされているのが

かわいそうとも思い、

その正解の出ない恋愛の真っ最中に
ふたりともにはかなくなる、
というのは、
(フィクションとして)

ちょっと美しい、とも思う。


書かれた年代がちょっと古いのと、
キリスト教圏だっていうこともあるのかもしれないんだけど、
誰かが誰かを好きだっていう気持ちにともなう
(自分自身の)「罪悪感」は、
いつもとても悲しいと思う。

愛は愛で、いいじゃないか。

……なんつってみる。

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