09/01の日記
14:24
検屍官。
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パトリシア・コーンウェル著
相原真理子訳
(講談社文庫)
『検屍官』
かつてとても流行していた、
女性(美人)検屍官ケイ・スカーペッタシリーズの第一弾。
現代ミステリはどれもそうだけれど、
書かれた当時は最新の捜査技術だったものが
(DNA鑑定とかね)
あっという間に、
自分のような完全な素人にさえ
常識っぽく思われていて、
世の中の流れは速いものよと
おじいさんぽく目を細めてみる。
そういえばこないだの『ポエット』には
「デジタルカメラ」が
最新の電子機器として登場していてやや困惑した。
どちらも、技術以外の面では
(登場人物のキャラ立てとか、
心理描写とか会話とか)
読んでいて古さを感じさせないので
時折りふいうちで訪れる「時代の差」にはっとする。
はっとしておじいさんぽく目を細める。
というか、このシリーズを今更読み始めた自分の
読書傾向の迷走ぶりにもやや驚く。
……どうでも良い話だが「主な登場人物」欄で、主人公のケイが5番目なのは何故なのだろう。一人称なのに。
この順番だとぱっと見マリーノ刑事が主人公ぽい。でもしょっぱなマリーノさんから電話かかってくるから間違えない。大丈夫。
マリーノさんのキャラ造形かなり好き。うっとりするほどのオヤジ感。だけども残念ながら妻帯者。
【ウィンゴーくん。】
かなり遠まわしに書かれている気がするけれども
(時代のせい?)
検屍のときの助手ウィンゴー君はおそらくゲイ。
面接時にそれを知っていたら採用しなかったかも、と回想しつつ、採用して良かった、と思っているケイが女性で上司で(かつまだそれがハンデである時代背景)あるところとか、まことに90年代的。とか余計な感慨を抱いたりして。
もうちょっと時代が下ると、アメリカの公的機関モノでは、女性であるとかマイノリティであるとかは、「逆に利用できる」肩書きとしてしたたかに使われている印象。
(下手に降格させると「差別である」と主張できるため抑止力的に一般の男性より有利、とか。)
それはそれとして、検屍の技術は高いのに、運ばれてくる遺体に涙を浮かべたりしてしまうという(仕事にならんのでは……)ウィンゴーくんはたいへんに可愛い。
ちょっと照れつつ「僕の友人のパトリックが……」などと言い出すウィンゴーくんには、「それ彼氏だろ!」とツッコまざるを得ない。
いやでもほんとにただの友人だったらごめんだけど。
マリーノ刑事にいちいち意地悪されるところも、それに対する反応も可愛いぜ、ウィンゴー。(だからイジられるんだと思う。)
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