夢小説
□#7 風が吹く
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「皆さん、おはようございます。今日は月に一度の全校集会ですー」
体育館に集められた全校生徒の前でハキハキと話す生徒会長。
髪が黒く輝きストレートロング、目鼻立ちもくっきりしていて凄く綺麗。今時のギャルみたいなメイクではなく、もとから持っている素材を生かしたような薄メイク。
芯もしっかりしてて綺麗な人って、女の私でも憧れるな。
神「? 何ボーっとしてるの?」
「ん? いやぁ、あの生徒会長綺麗な人だなーと思ってさ。」
神「あぁ…そうだね。名無しさんはあの人に憧れてるの?」
「うん。女らしい柔らかさのなかに、強い芯が一本通ってるのが分かるっていうか。
私172cmでただのデカい女とは違う世界に住む人ってこういうことを言うんだなーって。女としては憧れるよ、ああいう人。」
神「俺は名無しさんの方が良いけどな。ああいう人って裏表が激しそう。」
「まだ話したことないのにそういうこと言わないのー!」
そう言ってプイと神から生徒会長へと視線を変えた。
苦手な数学の授業中、窓際の席に座る名無しさんは集中出来ず校庭で行われている体育のバスケを眺めていた。
するとそこに憧れの生徒会長が転がるボールを取りに校舎の方へ歩いている。彼女はボールを手に取ると、こちらを見て目が合うとニコっと柔らかな笑みを送ってくれた。
昼休み
名無しさんはいつものようにバッシュを持って体育館へ走って向かった。
今日は神も一緒だ。
「きゃっ!」
曲がり角で誰かとぶつかりしりもちをついた。
目を開けると身の前に自分と同じ格好で倒れている生徒会長がいた。
「すみません!どこか怪我はしてませんか?」
「私は大丈夫よ?あなたもお怪我はないかしら?」
そう言いながら生徒会長は名無しさんの手を引き立ち上がらせた。
「私も大丈夫です。本当にすみませんでした!」
と深々と頭を下げる。
そんな名無しさんをジロジロと見つめる生徒会長。
神「あの…」
早く行かないと練習する時間がなくなるし、なによりも名無しさんをジロジロと見られるのが嫌だった。
「あぁ、ごめんなさいね。私は3年の二宮あかり。あなたは?」
「私は1年の名無しさん 名無しさんと言います。」
あ「あなた身長高いわね、いくつ?」
「え? あ、えっと…172cmです。」
あ「ふ〜ん、スタイルも良さそうだし。ね、メアド交換しない?」
「え?…あ、やっぱり後になって頭痛くなったりしたら大変ですもんね。私のせいだから…」
あ「ふふふ…違うわよ。そんなんじゃなくて!私、あなたと友達になりたいわ!」
「え、本当ですか!?」
そう言って心配する神をよそに、2人はメアドを交換した。
ダムダム…シュッ
第一線から退いてもまだ感覚は残っている。名無しさんのシュートフォームは女の子らしい柔らかなバネを使い綺麗な弧を描いてボールがゴールネットへ入っていく。
神「ねぇ名無しさん、あかり先輩とこれからつるむの?」
「当たり前じゃない!憧れの先輩から仲良くしたいなんて普通言われないよ?
あ、自分が相手されなかったからって拗ねてるんでしょー?」
神「いや、そういうんじゃなくて…なんとなく名無しさんと合わない気がするんだ。」
そんなの付き合ってみないと分からないよ?と言って
あかり先輩の話を終わらせた。
〜♪〜♪〜♪〜♪
その日の夜、早速あかりからメールが入ってきた。
ー今日はぶつかっておいて、更にメアドを聞いちゃって急に仲良くなりたいなんて変な人だと思ったかな?
今日出会っておいて急なんだけど相談したいことがあるの。これはあなたにしか頼めないことなのよ。
近々学校外で会いたいんだけど、いつ空いてるかしら?ー
私にしか出来ない相談事って何だろう?でも悩みがある人の力にはなりたい。ましてや憧れの先輩だし。
そう思って、練習が午前しかない次の日曜日の午後であれば都合がつくと返信した。