長編 悪魔の万華鏡

□金魚
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私が用意した浴衣を着た可愛はそれはそれは美しくて目を奪われました。
街ゆく人々もみな可愛の人間離れした美しさに足を止め見ておりました。
『…メフィスト…これ食べたい』
指差す先にはリンゴ飴屋がありました。私はそれを渡してやると可愛は嬉しそうにニッコリと微笑み、こんな人だかりの中ですが抱きしめたくなりました。
『ん…甘くて美味しい。ほら…』
可愛はリンゴ飴を一口舐め、私の口元にその飴を持ってくる。口付けは毎日している。
今更関節キスで喜ぶような関係ではない…が…浴衣姿に髪をあげた可愛はそれはそれは美しく私は緊張してしまいました。
『ありがとうございます。それでは一口頂きますね』
真っ赤な飴を口に含む。
可愛は私に飴を渡すとキョロキョロと違う屋台に興味を示している。
可愛の視線が止まった。
その視線の先を追うと金魚すくいの屋台だった。
『金魚すくいやりましょうか?』
可愛の手をとり屋台へ向かった。
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