短編集 線香花火

□京都がすき
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『綺麗やなぁ』
五山の送り火を見る
この送り火は死者を無事にあの世へ送る為に行われる行事
『綺麗や…うちらも死んだらあの送り火に導かれてあの世に行くんかなぁ…』
鴨川に浸けた足で水を蹴る
『そやで…この火は道標や…迷わんようにな…』
志摩は盆休みで地元に帰って来てる。
私は志摩とは家が近い…
だけど彼はいつも仲の良いメンバーでつるんでるからあまり遊んだ事はないが、顔を合わせ一段と綺麗になったとか…お世話だと分かっているが褒めてくれる…
嫌な気はしないし、志摩こそ背も伸びてかっこ良くなってるから…
最近は意識してしまい姿を見かけるとさけていた。
そんな私達が何故今ここで送り火を見ているかというと…
偶然…居合わせただけだ…。
別にデートじゃない。
ここは人もいない穴場だから、ゆっくり1人送り火が見れる場所。
だから私は毎年この河原で1人送り火を見送る。それが恒例だ。
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